金属材料研究所
阿藤敏行(昭和62年卒)
金研では、超高圧化学研究部門と結晶化学研究部門という、二つの研究室が化学の大学院に所属しています。そのうち、結晶化学研究部門では、平成14年3月まで大学院を担当されていた福田承生先生(特別会員)のご退職に伴い、今年(平成15年4月)から、三菱マテリアル株式会社から来られた宇田聡先生(特別会員)の研究室が発足しました。なにぶん、研究室が発足して間もないので、学生の募集はこれからです。福田先生は多元研に新しい寄付講座を発足され、結晶成長の大きなプロジェクトを実施されていらっしゃいます。
超高圧化学研究部門には、川崎雅司先生(特別会員)が東京工業大学から着任されたました。(平成13年4月)川崎研では、金属酸化物を使った機能性薄膜の合成を、コンビナトリアルケミストリーという手法を用いて行なっています。川崎研究室は、東工大出身の学生さんも移られ、20名をこえる大所帯となっています。今年は、化学の同窓生で実質的には研究室初代の学生となった福崎正志君(H13)、竹ノ谷雄一君(H13)が修士課程を卒業されました。福崎君は川崎研の研究生として学業を続け、竹ノ谷君はNECソフト株式会社に就職され、あらたな人生に向かわれました。現在、化学の学生としては、特別研究生(D3)のファルーク・ホサインさん、D2の山田君、塚崎君、M2の豊崎君(H14)、吉田君(H14)、櫻田君(H14)、吉田若葉さん、澤田石君、今年より入ったM1の大久保君(H15)と鈴木君(H15)が研究室に加わっています。川崎先生は、幾つもの大型プロジェクトを抱え、学生指導も合せて、お忙しい毎日です。川崎研発足とほぼ時を同じくして、職員となられた大友明さんと福村智昭さんは、発足して間もない研究室の立上げと、学生の面倒を見ていらっしゃいます。福村さんは6月カリフォルニアの方に留学される予定です。
同窓生である、大森守さん(S39)、香川昌宏さん(S41)、草場啓治さん(S58)、と私(S62)が職員として元気に研究に励んでいます。また、原光雄さん(S39)は大洗の附属材料試験炉利用施設でご活躍です。退職され、今は東北福祉大学に移られた菊地(根本)昌枝さん(S39)が、川崎研の研究顧問としてご活躍されています。川崎研の前任者で、退職された庄野安彦先生(特別会員)は、週何日か金研にお越しになり、東北大学百年史の編集のお仕事をされています。
来年の法人化に向けて、安全性の点検などが始まりました。特に5月末の地震では大きな被害は出なかったものの、25年前の宮城県沖地震の記憶がよみがえり、緊張をあらたにして地震対策を重点的に行うべく、研究室一同、努力しているところです。
多元物質科学研究所
清水 透
多元物質科学研究所ができてから約2年半が経過しました。この研究所の成立については、平成13年11月号で手老省三教授がすでに寄稿しております。旧反応化学研究所8研究室と旧科学計測科学研究所2研究室が、理学研究科化学専攻の協力講座となり、化学専攻の修士および博士課程の大学院生が日夜研究に励んでおります。協力講座の1つである生体プロセス設計研究分野(高次構造制御)の中西八郎教授が所長を勤めています。
又、古山研(バイオ系応用システム研究分野)、清水研(バイオ系基盤システム研究分野)、斉藤研(生体プロセス制御研究分野)は2年前に創設されました大学院生命科学研究科の協力講座にもなっています。この3研究室へは、理学研究科と生命科学研究科の両方から大学院生が来ています。
職員の動向では、平成14年3月に化学機能設計研究分野(表面化学計測)の楠勲先生(特別会員)が退官され、その後任には京都大学理学研究科より米田忠弘先生が平成15年4月より赴任されました。又、平成15年3月には量子プロセス解析研究分野(紫外線分光計測)の佐藤幸紀先生(特別会員)が退官され、その後には助教授の上田潔先生が平成15年4月より教授に昇任されました。楠先生には平成14年の同窓会報に寄稿して頂いております。又、佐藤幸紀先生、米田忠弘先生、上田潔先生には今年度の会報に寄稿頂いております。荒木保幸さん(平成6年卒)は平成15年の4月より伊藤研の助手になりました。
片平地区にある研究所と雨宮地区の農学部・農学研究科が青葉山のゴルフ場の跡地に移転する計画は、ゴルフ場との話合いが最近ようやく解決し、移転計画は進行することになりました。片平地区からは、大学本部、流体科学研究所、電気通信研究所は青葉山に移転しますが、多元物質科学研究所と金属材料研究所は片平地区北西側の8ヘクタールの区域に残ることになりました。多元研は片平地区の旧理学部のあった区域に大きな3つの建物を建てる予定になっております。が、その前に各研究所の連携を図って総合研究棟をまず建設する予定です。現在の片平地区にある、化学教室が青葉山に移転する以前に使用していた、第一講義室と呼ばれていた木造の大きな講義室は、中国からの留学生である文豪であり革命家であった魯迅が学んだ旧医科大学校の歴史的建造物として現在でも良く保存されており、中国からの見学者もしばしば訪れます。あの趣のある鉄筋の黄色いレンガの旧化学教室も片平地区の顔になり、そのままの形で利用されております。このような歴史的建造物の保存と活用を希望している市民の声もあることから、この建物も壊されずにそのまま保存されることを心より希望しております。旧中央図書館も史料館と名前が変わって良く保存・整備され、学内のみならず多くの市民が訪れております。また、平成16年4月の独立法人化に合わせたロースクール(法科大学院)や、公共政策大学院などを含めた「エクステンション教育施設」などの社会人向け施設も片平地区に整備されることになっております。このように、片平地区には昔の良い雰囲気が漂っておりますので、同窓生の皆様も仙台にお出でになる機会がありますれば、片平地区へも是非お立ち寄り下さい。