化学教室便り
化学教室この一年
化学専攻長・学科長 三上直彦(昭和40年卒)
同窓会会員の皆様におかれましては、益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。本年度は三上が化学科の学科長および化学専攻長を勤めており、学科委員の山本嘉則教授とともに化学教室・化学専攻の運営にあたっております。
今年3月には、有機第一講座担当の宮仕勉教授が定年退官されました。温厚なお人柄の内に強固な信念を秘められて、長年に亘る研究活動の傍ら、化学教室のみならず理学部、あるいは東北大学全体のために尽力いただきました。平成15年3月7日には、恒例の化学教室主催の最終講義があり、理学部・理学研究科や片平キャンパスの多元研(旧反応研)などの学内関係者に加えて、全国から集結した研究室同窓生を含めた多くの方々が拝聴いたしました。ここにあらためて宮仕教授の業績を称えるとともに、多大の貢献に感謝の念を表したいと存じます。
昨年4月以後、今年7月までの採用や移動された方々は、以下の通りです。
助教授(生命科学研究科) 安元研一 15.1.1付 医学部助手から
客員助教授(COEフェロー)GRIDNEV, Ilia D. 15.1.1付 採用
助教授 伊東俊司 15.7.1付 助手から
講師 井上将行 15.7.1付 助手から
助教授 伊東俊司 15.10.1付 弘前大学教授へ転出
事務官 田村隆広 15.4.1付 仙台電波高専会計課へ転出
事務官 千葉裕子 15.4.1付 工学部・工学研究科事務部総務課より
今年度早々、評議会で東北大学名誉教授授与規程が改正されたことを受けて、早速、現コロンビア大学中西香爾教授が東北大学名誉教授に推戴されました。化学教室関係者にとっては大変喜ばしいことです。去る9月30日、理学部大講義室での特別講演会では、多元研や農学部等からの参加を含めて多くの方々が、最近のお仕事を含めての天然物有機化学研究史を拝聴いたしました。
昨年の本誌発行後、平成14年後半の重大ニュースは、理学研究科化学専攻を中心として提案していたプロジェクト「大分子複雑系未踏化学」が、文部科学省21世紀COE拠点(化学・材料科学分野)の一つとして採択されたことでしょう。山本嘉則教授をリーダーとする各種のCOEプログラムが計画されており、工学研究科化学系3専攻とともに5年間のプロジェクト推進が予定されております。昨年度から、外国人助教授の採用、COEポスドク採用、博士後期課程大学院生への経済支援などが実施されて、シンポジウムや国際会議の開催も、すでにいくつかが実行されております。また、化学教室の裏手には、COEプログラムの一貫としての大学院講義室棟建設が間もなく完了する運びになっております。
さて、平成16年4月に迫った国立大学行政独立法人化を目前にして、現在、各種の作業対策が急ピッチで進行中です。特に、独立法人化後に適用される労働安全衛生法への対策として、ドラフト整備やボンベ配管など設備設置工事を伴う改善をする必要に迫られており、今年度前半の緊急且つ重要課題となっております。また、昭和47年建設の現化学棟は、大学院重点化による大学院生定員増や各種研究費増大に伴う先端研究装置設備の増加などによる狭隘化や、築後30年を経過して老朽化および劣悪な耐震性などの諸問題が堆積しているため、近く大幅改修移転を実施する予定ですが、上述の独法化対策のために計画が大幅に遅れており、実施の規模や時期についての見通しが全く不透明な状況にあります。今後も一層の発展に向けて化学教室構成員の努力はやむことはありませんが、同窓会の皆様のご協力とご支援をお願い申し上げます。
同窓会会員皆様の益々のご健康とご発展を願っております。
平成15年10月20日