学生受賞記念寄稿
藤瀬賞受賞を受けて
間下 貴斗
この度、藤瀬新一郎博士奨学賞をいただき大変光栄に思っております。 受賞にあたり、これまで私を支えてくださった家族を始め、日頃から熱心にご指導してくださっている水上先生を始め細胞機能分子化学研究室の先生方、また研究室の友人たち、そして私が4年生の時に所属しておりました分析化学研究室の西澤先生を始め分析化学研究室の皆様に深く感謝申し上げます。 すでに院試から丸2年が経とうとしていますが、現在でも院試に対しての当時の意気込みを深く覚えております。 私は学部の授業の成績は芳しくなく、研究室配属も成績がよくないため、じゃんけんに勝って希望の研究室に配属されたことを鮮明に記憶しております。 院試に際してこのまま成績が悪いままで終りたくはないと思い、院試勉強に励んでいたことを覚えております。 院試勉強では授業を真面目に受けていた人と比較して、スタートラインがかなり下だと感じておりましたので、基礎から徹底的に勉強し直しました。 また、研究室で開催されていた勉強会の問題もただ解くだけではなく、そのメカニズムまで理解しようと務めました。 現在になって思い返してみると、「いい成績がとりたい」という純粋なモチベーションが院試勉強への強いやる気をもたらしていたことが妥協せずに最後まで準備し続けられた理由ではないかと思われます。 また、私は大学院から所属研究室を変更しました。というのも3年生後期に配属された研究室は有機系の研究所だったのですが、指導教員が翌年4月に他の大学へ異動することになり、別の研究室に移らざるをえなくなりました。 当時はその研究室で人工核酸の合成研究を行っておりましたので、核酸を研究している分析化学研究室を選択し、4月から配属されました。研究室の雰囲気は非常に良かったのですが、有機合成をあまり行わない研究室であったため、少し物足りなさを感じていました。 そのため、最後まで研究室を変更するかどうかを悩みましたが、本当に自分がやりたい研究をしようと決断し、現在の細胞機能分子化学研究室を第一志望としました。 現在の研究室はケミカルバイオロジーの研究を行なっており、有機合成だけではなく、各種分光測定や生化学実験など広範囲にわたる知識を活用しながら研究をしています。 振り返ると、院試勉強を通してしっかりと基礎を押さえておくことができたため、比較的スムーズにさらなる知識を習得することができているのではないかと感じています。 院試勉強が単なる「いい成績をとる」という目標だけではなく、その後の大学院生活にも非常にプラスになっていると痛感しております。 最後になりますが、このような機会を与えてくださった東北化学同窓会の皆様方に厚く御礼を申し上げるとともに、本同窓会の益々のご発展を心から祈念しております。
化学専攻賞受賞を受けて
奥津 賢一
この度は化学専攻賞および青葉理学振興会賞を賜りまして、大変光栄に思っております。 この場を借りまして指導教官の美齊津教授、研究室のスタッフの皆さん、学生の皆さんに心より御礼申し上げます。 また、選考に関わられました先生方に感謝申し上げます。 私は研究室配属から博士号を取得するまで6年半の間理論化学研究室に所属していました。 「理論化学」は大正時代において「物理化学」を指すもので、理論化学研究室は化学科設立当初より綿々と受け継がれてきた伝統ある研究室であり、様々な物理化学の研究がこれまで行われてきました。 さて、私は研究室に在籍中は真空中における(気相)イオンの光反応過程を画像観測法と呼ばれる手法を用いて解明する研究を行ってきました。 この画像観測法は反応後のイオンを最終的に画像として捉えて反応過程を解明する上で必要な情報を得られる手法です。 在籍中はこの画像観測法を用いた研究および当該手法を用いた新たな実験装置の開発を行いました。 在籍していた期間の大部分は実験装置の開発に費やし、その間に実験装置を開発するにあたり必要な技術や知識を身に着けることができました。 東日本大震災の余波で施工された耐震補強工事に伴いコンマミリ単位の精度が求められる実験装置を移動させなければならなかったり、製作した装置が思い通りに動かなかったりなど様々な紆余曲折もありましたが、指導教官の心強い支援のもとのびのびと装置開発をさせていただくことができました。 特に実験装置の図面を引くところから経験させていただけたことは、様々なものがブラックボックス化していく現代において貴重な経験で、改めて機会を与えてくださった美齊津教授には深く感謝しております。 学生の皆さんも機会があればぜひ基本や原理に立ち返る機会をつくるとより深く、より明るく研究を理解することができると思います。 私は現在、日本学術振興会の研究員として出身研究室に留まり研究を継続しております。今後決して楽な道ではありませんが、培った技術を活かして今後の研究に貢献していきたいと考えています。 末筆ながら、東北化学同窓会会員の皆様のご健勝と、同窓会のますますのご発展をお祈り申し上げます。
化学専攻賞受賞を受けて
小齋 智之
2018年3月博士課程後期課程修了にあたり、化学専攻賞および青葉理学振興会賞をいただくことができ、大変うれしく思います。 選出してくださった諸先生方に厚く御礼申し上げます。 6年半もの間大変お世話になりました岩本先生を始め、研究を行うにあたりご協力をいただいた岩本研の皆さまに深く感謝いたします。 私は学部3年次、配属する研究室を選ぶ際になんとなく合成をしたいと考えていました。 研究室の紹介を聞いた際に、「有機化学のルールが通用しないケイ素って面白そう」と思い、岩本研を第一志望に選んだことを覚えています。 担当する講義が変更になったタイミングであったため、私は岩本先生の講義を受けたことがありませんでした。 今考えると、話したこともない先生の研究室をよく第一希望に選んだなと思います。 結果的にこの選択は正しく、博士課程を終えるまで岩本先生にお世話になりました。 岩本先生は常に親切でフェアであり、私にとって理想的な先生でした。 私は岩本研で様々な不飽和有機ケイ素化学種の合成、性質と反応性の解明に取り組んできました。 なかでも環状アルキルアミンシリレンに関する研究が特に思い入れがあります。 初めて自分自身で分子設計と合成法を考えたり、研究の途上で他のグループが同様の研究を行っていることを知り慌てて論文を書いたり、研究の楽しさと厳しさを知ることができる経験でした。 振り返ってみると、私は博士課程に進学して本当によかったと思います。 私はもともとアカデミックに進むつもりはなく、修士課程を終えたら就職しようと考えていました。 しかし、今まで生きてきた中で研究をしている今が一番楽しいと感じたため、博士課程へ進学を決めました。 もしかしたらこの文章を読んでいる方の中に、博士課程に進学するか迷っている方がいるかもしれません。 私の個人的な意見ですが、研究を楽しんでいて、教授や先輩からもすすめられているのならば、ぜひ進学してみたらいいと思います。 私にとって博士課程で過ごした時間は、それまで以上に充実していて大変価値のあるものでした。 現在私は4月から企業へ就職しています。 座学での新入社員研修が続いており、論文のアラートが届くと研究が恋しくなります。 これからも可能な限り化学と関わっていきたいと考えています。 最後になりましたが、このような機会を与えてくださった東北化学同窓会の皆さまに御礼申し上げ、ますますのご発展をお祈り申し上げます。
青葉理学振興会奨励賞受賞を受けて
児玉 祥太
この度、青葉理学振興会奨励賞という大変名誉ある賞をいただくことができ光栄に思います。 この三年間を振り返ってみると、受験時に専門分野として選択した化学のみならず数学や物理学、外国語といった他分野の興味を持ったことにも誰よりも積極的に取り組んできたという自負があり、そのような姿勢が今回一つの形となって評価していただけたように感じ嬉しく思います。 また、私は1年生の頃から、将来国際的な舞台で活躍できる人材になりたいという目標を持っており、学部1年時にはカナダへの短期語学留学、そして、2018年4月現在はスイスでの1年間の交換留学に挑戦しております。 こちらでは、現地の学生および他国からの留学生とともに授業をいくつか履修しながら、不斉合成を専門とする研究室に所属し、PhDの先輩からの指導のもと実験を行うという充実した生活を送っておりますが、留学当初は、授業の内容がうまく理解できなかったり、研究室でも英語が聞き取れないがために指示を間違えてしまったりするなど自分の無力さに打ちひしがれることが何度もありました。 そんな中でも、毎日帰宅してからは英語のリスニング練習を行ったり授業の復習を繰り返したりして、少しずつですが英語の能力を向上させることができ、また授業も単位を落とすことなく秋セメスターを終えることができました。 また、様々な授業の中では人名反応等において何人もの日本人化学者の名前を耳にすることがあり、日本の化学界の偉大さを日本で授業を受けていた頃以上に強く感じております。 研究活動については、こちらの研究室ではPhDの学生、ポスドクが研究の中心であり、まだまだ未熟な学部生である自分には研究テーマがあるわけではありません。 そのため、日本で研究室に配属されて自分のテーマを持って研究を行っている同期から遅れをとっているという焦りがありますが、そんな遅れを取り戻せるように帰国後は研究活動に邁進していきたいと思っております。4 最後になりますが、このような名誉ある賞を授けていただいた青葉理学振興会の皆様、留学にあたり留学先の教授をご紹介いただくなど大変お世話になった寺田眞浩先生、そしてこのような寄稿の機会を与えていただいた東北化学同窓会の皆様へこの場をお借りして感謝申し上げます。 ありがとうございました。
青葉理学振興会奨励賞受賞を受けて
小崎 航
この度は青葉理学振興会奨励賞という名誉ある賞を受賞することができ、大変光栄に感じております。 この賞は学部3年次までの学業成績に対する賞ということで、受賞のお話を頂いたときはこれまでの努力を認めていただけたように感じ大変嬉しく思うとともに、これまでを振り返る良い機会となりました。 東北大学に入学してからの3年間を振り返ってみますとサークル等の活動で学生生活が充実していた事もさることながら、学業に関しては自分の知的好奇心の赴くままに文系理系問わず様々な分野の講義を履修したことにより、自分が知らない様々な世界に触れることのできた有意義な時間だったと思います。 もちろん履修する講義が多くなれば課題や定期試験の量も多くなるので、自分にとって苦しい状況になるときは何回もありました。 それでも多くの講義を履修する事ができたのは、ある分野の講義で学んだ知識が分野の全く異なる別の講義で活用できることが多くあり、学んだ事をまた別の何かにつなげられるという事実に感動し、新しい知識を得られることに前向きでいられたからだと思います。 そうして3年かけて培ってきた知識は、研究室に入った今でも活用できる機会が多くあります。 現在は有機化学第一研究室に所属し、上田先生をはじめとした先生方のご指導のもと、植物の生長プロセスを制御するジベレリンと呼ばれる植物ホルモンに関するケミカルバイオロジー研究に取り組んでいます。 その中で自分が今行っている遺伝子・タンパクを扱った実験はこれまで学んだ知識が基礎理論となっているものもあるため、学んだ事を実践できていることに感動を覚えながら意欲的に実験に取り組めています。 しかし研究を進めていく上で分からないことも多くありますので、今後は有機化学・分子生物学を中心に幅広い分野のより発展的な内容を学んでいき研鑽を積んでいく所存です。 最後に、このような名誉ある賞をくださいました青葉理学振興会の皆様、自分をこれまで支えてくれた家族や友人、ご指導いただいた教員の皆様、寄稿の機会を設けてくださいました東北化学同窓会の皆様に厚く御礼申し上げます。 同会の益々のご発展をお祈り申し上げます。
黒田チカ賞受賞を受けて
WU, Jenna Wen Ju
I would like to first show my appreciation and gratitude to Prof. Misaizu, Assistant Prof. Ohshimo, Assistant Prof. Nakano, and other lab members who have supported me in this process of pursuing education in Tohoku University and my life Japan, which leads to this chance of receiving The Kuroda Chika Award (青葉理学振興会黒田チカ賞). Without Prof. Misaizu, IGPAS (The International Graduate Program for Advanced Science) program, and some miraculous coincidences, I would not be able to share this happiness to my family, who have been supporting every single decision in my life at the other side of the Pacific Ocean. After completing my undergraduate education in America, I started my life as an IGPAS master student in 2013. Since then, I have been studying geometrical structures of various metal oxide cluster ions with a special technique called ion mobility mass spectroscopy. This is an entirely different field of study from my undergraduate education, yet challenging enough that I was able to learn something new every day. Therefore, I truly appreciate that I was given a chance to learn and study in Tohoku University. In the beginning of my life in this foreign city, and foreign country, I found out that there are many efforts given by the residents in Sendai City intended to improve the life of foreigners in Japan. I was surprised to the extent of effort being placed. For example, one can find a booklet of instructions, in all kinds of languages, on how to throw away trash, or on disaster prevention. Also, one would not be able to find any other city in the world that repairs used or recycled bicycles and sell to the international students at a low price to support their life! These thoughts were simply immeasurable kindness to us. Therefore, I decided to do something in return. Give and Take. I feel very grateful to be able to share my life experiences as volunteers to new international students, foreigners, or even to Japanese residents. I mean, why not? Since foreigners like us act and think differently from Japanese, both parties need to understand these differences in culture backgrounds. For example, for four years, I act as supporters and as a senior students (senpai) to the newly enrolled IGPAS students, and give suggestions on how they should think and act as they proceed to the first stage of life in Japan. I am afraid to say that I am the best doctor course student, or the best female doctor course student, who really deserves this award, yet I am proud to say that I faces challenges upfront in positive attitudes as I encounter them. Also, I believe that life is not all about studying, though human beings learn as we age, but what we really need to know is that life is not taken for granted. Last but not least, I appreciate how Chemistry Department, and the Graduate School of Science of Tohoku University as a whole, honor students in their effort pursuing education. I believe that these awards are far more meaningful to our lives than simply a milestone.
総長賞受賞を受けて
吉本 崇志
飛田研究室に所属していました吉本崇志です。 この度は栄えある総長賞を頂き,誠に嬉しく思います。 学生生活の最後にこのような賞を頂けたことは,何にも代え難い喜びです。 私は大学院の修士課程から東北大学に来ました。 初めは新しい土地での生活に慣れるのも大変でしたが,それ以上に新しい実験手法や測定装置の使い方に慣れるのに苦労したことを覚えています。 私の研究テーマはケイ素を含む有機金属錯体の合成だったのですが,扱う錯体が酸素や水分で分解してしまうために,反応前に試薬を脱水したり,反応容器内を不活性ガス(酸素を含まないガス)で満たす必要がありました。 私は学部で所属していた研究室でも有機金属錯体の合成をしていたのですが酸素や湿気についてはあまり気にしたことがなく,当初はこういった操作を覚えるのに四苦八苦していました。 また,測定装置も大学では使ったことが無いものがたくさんあり,大学院に来た当初は使い方が正しいか不安で恐る恐る使っていたことを覚えています。 実験に慣れてからもなかなか良い結果が得られず,修士二年の時にやっと目的錯体を単離できたと思ったら,それが目的錯体の二量体であるということもありました。 しかし,私が幸運だったのは,得られた二量体が再び単量体(目的錯体)へと解離することを発見できたことです。 これを利用して,博士課程ではついに目的錯体の性質を研究することができました。 途中で研究テーマが変更になる人も多い中で,当初に設定したテーマをそのまま進めることができたのは本当に運の良いことでした。 博士課程では日々の研究以外にも,学会発表や論文執筆などの貴重な経験をすることができたと共に,非常に充実した時間を過ごすことができました。 これも研究室のメンバーからの多大なるお力添えのおかげです。 特に飛田先生,並びに橋本先生には五年に渡り熱心に研究を指導していただき,感謝に堪えません。 この場を借りて厚く御礼申し上げます。 また,研究に関して多くの助言を下さった小室先生と渡邉先生,研究室秘書の鈴木さん,そして共に研究室で過ごした先輩,同期の友人および後輩の方々にも深く感謝致します。 最後になりますが,このような執筆の機会を下さいました東北化学同窓会に心より感謝申し上げます。 東北化学同窓会会員の皆様のご健勝と、同窓会の益々のご発展をお祈り申し上げます。