昭和40年卒50周年記念同期会特集
昭和40年卒50周年記念同期会に寄せて
是枝 正人
どう言う訳か 一番日本語で文章を書くのに不慣れな私が同窓会への便りを書くように仰せつかってしまいました。乱文、誤字などはお見逃し下さい。
我々昭和36年入学同期生は、化学第二学科新設直前の定員35名で、学部2年の後半からの学生生活の殆どを片平丁の化学科の建物で過ごしました。その後数年間続いたあの強烈な学生運動の嵐が始まりかけた頃でもありました。化学科は当時の大学本部の真向かいであったこともあり、我々は学生運動の影響をまともに受けてしまいました。我々が3年の時に東京教育大(現筑波大)から中西香爾先生が就任され、早速、教養部から学部へ進学したばかりの我々にNMRの講義を英語でなされ、皆度肝を抜かれたものでした。その上、最後の試験では「Lampterol (夜光性きのこに含まれているセスキテルペン)のH-1 NMRを構築して描け」などという難問まで出されました。その中西先生は先月90歳になられましたが、Columbia大で今もお元気に活躍されておられます。その当時野副鉄男先生も現役として居られて、中西先生をはじめとして若い教授先生方と共にご活躍され、世界に東北大化学科の名を馳せはじめておられました。その伝統をそれ以来今日まで引き継がれて来られた数多くの化学科の歴代の教授の方々には我々卒業生として深く感銘し感謝いたしております。
今年の1月頃に百足嘉魏君から同期生宛のE-メイルで卒業50周年の集まりの提案がありました。そしてついに今回百足嘉魏君と三上直彦君との尽力により昭和40年3月卒同期生の卒業後50周年の集まりを6月11、12日に秋保温泉「緑水亭」で行うことができました。卒業時34人であった仲間のうち、残念ながら5人が他界されました。主に健康上の理由で10人が今回は欠席でしたが、次の19人が元気な姿で参加しました:安東政義, 池田憙紀, 小野章二, 兼田教一, 管野毅, 久保田英世, 榑松一彦, 黒瀧克己, 郡司克一, 是枝正人, 斎藤直, 佐藤藹也, 菅原徹, 長澤(旧姓高木)良子, 野村紘一,三上直彦, 百足嘉魏, 森 章, 門馬幹雄。 原田宣之君は6月12、13日に東京であったMolecular Chirality 2015の学会招待の為欠席でした。私も12日の午後にその学会を訪ねましたが、原田君はMC学会功労賞を受けました。また、現化学科教授の寺田眞浩氏がMC2015Awardを受賞され、まさに東北大化学科のスウィープでした。
我々は先ず11日の12:30PMに今は東北大学本部になっている片平キャンパスの旧化学科の正面玄関前に集まり,再会を喜び合いました。久保田英世君特注の「記念同期会横断幕」を誇らしく掲げて正面玄関前で記念写真撮影の後、本部の総務部広報課の方々のガイドに従って旧化学科の建物及び今は魯迅記念講義室となっている旧第一講義室に入りました 。あの講義室席に座ると、眠気を必死になってこらえた朝8時のPChemの講義などが懐かしく思い出されました。その後、旧大学図書館であった東北大学資料館内を見学したのち、仙台駅東口からホテルの送迎用マイクロバスで「緑水亭」へ向かいました。午後6時の開宴までは3つの部屋で大学時代の話、その後現在に至るまでの様々な話題を楽しんでいました。三上君による実に緻密な企画のもとで我々の50周年記念の宴は楽しく進みました。特に小野章二君の編集による50年前と現在の各自の写真とを並べて映し出したスライドショウは圧巻で、皆で大騒ぎしました。それに加えて、長澤良子さんによる舞踊披露、久保田君の提案によるご当地お土産交換などがあり夜遅くまで大いに盛り上がりました。最後に、2、3年後にはまた集まろうと皆で約束しました。翌日12日には、同期生有志7人が今は100万人都市になった仙台の旧跡への思い出訪問をしました。同期会後ただちに、小野君は今回の参加者の近況報告寄稿文とともにスライドショウの写真を含めて数多くの新旧写真を編集したCDアルバムを作成して、記念同期会の記録として同期生全員宛に送ってくれました。・ET0年の歳月を一気に飛び越えた思い出を綴るかけがえのない記録となりました。
我々は、過去40?50年に亘り研究、教育に携わっていた会社、研究所、高校、及び大学などからここ数年の間に引退しましたが、大学時代に化学科での教育で培われた学問の基盤が我々の現役時代の仕事の原動力になっていました。ここに我々をご指導いただいた先生方に深く感謝の意を表したいと思います。それぞれの色々な困難を経てきた卒業50年後の我々が、今回の同期会を機会に、自らの学問の故郷へ帰還したことは、我々一人ひとりにとって懐かしくもあり誇らしくもある良き思い出となります。今、我々の多くは、さまざまなヴォランティア活動やコミュニティサーヴィスに携わっております。また名誉教授になっても未だ連日研究、実験を続けている者もいます。これから我々がどのように社会?学問に貢献出来るか楽しみです。
最後に、今回の我々の集まりにあたっての会計で5万円が残金として残りました。つきましては、卒後50年に因んで東北化学同窓会に寄付致したく思います。是非貴会の活動費の一部にでもお使い頂ければと思い、別途お送りしました。我々同期会一同益々の貴会の発展と活発な活動を祈っております。
旧化学科正面玄関前にて