学生受賞記念寄稿



藤瀬賞受賞を受けて 城 健

藤瀬賞受賞を受けて 武井 麗

荻野博・和子賞受賞を受けて 杉林 敏大

化学専攻賞受賞を受けて 梅宮 茂伸

化学専攻賞受賞および青葉理学振興会奨励賞受賞を受けて 山崎 馨

青葉理学振興会奨励賞受賞を受けて 男庭 一輝

青葉理学振興会奨励賞受賞を受けて 中島 祐司

青葉理学振興会奨励賞受賞を受けて 小林 良

平間賞受賞を受けて 千葉 崇

平間賞受賞を受けて 前島 夏奈

平間賞受賞を受けて 芳井 朝美


藤瀬賞受賞を受けて


城 健


このたびは藤瀬新一郎博士奨学賞という栄誉ある賞を受賞することになり、とても嬉しく思います。まずはこの場を借りて、ご指導いただいている寺田眞浩教授、中村達准教授、近藤梓助教に感謝申し上げます。また院試勉強会を開いて下さった研究室の先輩方、マクマリーの勉強会を開いて下さったMetalグループの先輩方に感謝申し上げます。そして一緒に院試勉強を頑張った研究室の同期にも感謝しています。

院試勉強期間は長く大変なものでしたしもう一度やりたいとも思いませんが、今思い返してみると学部の授業の内容を総復習する良い機会だったのではないかと思います。私の場合は物理化学が苦手であり授業で理解できていなかったことも多かったのですが、院試勉強を通して理解を深めることができ、あのときあの先生が言っていたことはこういうことだったのかと気づいたこともありました。また私の専門である有機化学とつながってきたときは面白くなるとともに、今までちゃんと勉強してこなかったことを反省しました。むしろ院試勉強という機会があって良かったと思います。

本稿を執筆している現在は就職活動中です。企業で仕事をするのであれば大学で学んだ知識がそのまま活かされるとは限りませんし、全く違う分野に飛び込むこともあるかもしれません。自分の視野を専門で狭めすぎないためにも幅広い興味関心は大事なことだと感じているところであり、院試勉強で広い範囲の化学を復習したことは自分にとってプラスになっていると思います。

私は反応有機化学研究室に所属し、遷移金属触媒を用いた新規反応開発を行っています。幸運にも学会参加の機会に恵まれ、口頭発表やポスター発表などを経験させていただきました。質疑応答を通して様々な視点からのご指摘をいただき、自分の視野を広げることが出来たとともにディスカッションをして研究を深めていくことの大切さを学びました。また他研究室の研究の話を直接聞けるまたとない機会であり勉強になりましたし、同世代の研究者とのディスカッションにとても刺激を受けました。学会で会った人たちが各々の研究室で頑張っていることを思うと、私も頑張らねばという気持ちになります。現在は新たな反応開発を行っており、卒業までに仕上げられるよう全力を尽くしたいと思います。

最後に、東北化学同窓会の皆様に感謝を申し上げるとともに、ますますのご発展を心より祈念申し上げます。


ページトップへ


藤瀬賞受賞を受けて


武井 麗


この度、藤瀬新一郎博士奨励賞を授かりました。このような名誉ある賞をいただき、大変光栄に存じます。この場をお借りして、反応有機化学研究室で熱心・Eノご指導いただいた先生方、数々のアドバイスを下さいました先輩方に深く感謝申し上げます。また、日々励まし合いながら切磋琢磨した研究室の同期のメンバー、様々な面で支えてくれた家族、関わって下さったすべての方に心から感謝申し上げます。

大学院入試に向けた勉強では、日々図書館に通い詰めた記憶が残っています。基本的には朝から晩まで図書館で過ごし、気分が乗らないときは他の学習室を利用して学習を継続していました。しかし時にはリフレッシュのため温泉に行ったり、実家に帰省して旅行に行ったり、サークルでまったり過ごしたり、勉強以外のことも大切な時間として過ごしました。

毎日学習を続ける上で思ったことは、「努力する」ことを自分の生活の一部にしてしまうと気が楽だということです。周りの人を見ると、それが自然と出来ているため、そのような良い環境に影響されたことが自分を鼓舞する上で大きかったと思います。昔を振り返ってみると、自分の能力が優れていることはなく、人より頑張ることでやっと人並みに追いつく、ということが多かったと感じています。大学院入試を通して、自分の性格や考え方を改めて理解し、自分の軸となる生き方を一つ見出した気がしています。これからの人生においても一歩一歩積み重ねるように生きていきたいと思います。

私は現在、反応有機化学研究室に所属し、近藤梓先生に直接ご指導いただきながら研究を進めています。テーマとしては、これまで塩基を扱うグループではあまり活用されてこなかった遷移金属触媒を用いた反応の開発を行っています。反応自体が珍しいというものではありませんが、その有用性を考えると重要なテーマであると認識しています。研究を進めていく中で、様々な点で自分の力がまだまだ足りていないことを痛感しています。また研究以外でも学ぶことが多くあり、今後はその多くを吸収して成長していきたいと感じています。藤瀬賞を授与された歴代の先輩方に続けるよう、身を引き締めて研究に取り組みたいと思います。

最後になりますが、今回このような機会をいただき深く感謝致しますとともに、東北化学同窓会の益々のご発展を祈念いたします。


ページトップへ


荻野博・和子賞受賞を受けて


杉林 敏大


この度、荻野博・和子奨学賞を受賞することになり、大変光栄に存じます。この場をお借りして、本賞を設立された荻野博・和子両先生、熱心に講義をして下さった先生方、共に勉学に励んだ友人、日々の生活を支えてくれた家族に深く感謝を申し上げます。

今までの大学生活を振り返ると、苦労の日々の連続でした。大きな生活環境の変化や慣れない一人暮らしもありますが、何よりも講義を理解するのが難しいということに苦労しました。高校の化学と大学の化学との間にギャップを感じ、「自分は今まで何も分かっていなかったのだ」とも思いました。しかし、「化学科の学生なのだから、何とか化学の講義だけはよい成績を収めよう」という思いで懸命に勉強しました。すると、次第に理解できた事柄も増えていき、化学の面白さをより一層感じることができるようになりました。理解が深まると勉強も捗り、さらに努力を重ねることができました。このような努力が実を結び、荻野博・和子奨学賞を受賞することができたのだと存じます。私を支えてくれる人がいなければ、今までの努力は成り立たなかったのだと存じます。改めて私を支えてくれる全ての人に感謝を申し上げます。

現在は計算分子科学研究室に所属しており、コンピュータシミュレーションの基礎を学習、実践しているところです。この分野特有の難しさや、今まで学習してきた化学だけでなく他の分野の知識が要求されるなど、苦労は絶えないですが、やりがいも大きいです。実際にプログラムを書いて計算をすると一発でうまくいくことはほとんどありませんが、うまくいったときには大きな喜びを感じます。まだまだ私は未熟なので、研究室の先生方や先輩方にご指導ご鞭撻をいただき、より一層の努力を重ねて精進していく所存です。

最後になりますが、このような機会を与えて下さった東北化学同窓会の皆様に深く感謝を申し上げるとともに、本同窓会の益々のご発展をお祈りいたします。


ページトップへ


化学専攻賞受賞を受けて


梅宮 茂伸


この度は化学専攻賞を受賞することができ、大変嬉しく思います。指導教官である林雄二郎先生の熱心なご指導が無ければ、このような機会を得ることは出来ませんでした。この場を借りて深謝致します。

私は元々東京理科大学の学生で、2009年に林研究室に配属されました。理科大は成績順に希望の研究室に入ることが出来るシステムだったため、自分のやりたい研究をするには良い成績を取る必要がありました。とは言うものの、当時の私はそもそも大学院に進む気が無く、留年だけを回避しつつ、ろくに大学に行かず遊び呆けていました。研究室選びは楽そうな研究室から適当に希望を出しました。が、私の成績は約100人中82位。当然希望の「楽な」研究室に入れるわけもなく、皮肉にも最も「大変」と噂の林研究室に放り込まれました。この時点では何の研究をしているのかよく知りませんでしたが、どうせ一番辛いなら、と心機一転(?)、博士課程に進むことを決めました。その日の帰り道に生協でウォーレン有機化学を購入し、勉強を始めました。それまでの生活からは一変し、朝から深夜まで実験する事になったため、毎日入り浸っていたゲームセンターに全く行けなくなりましたが、むしろ新鮮で楽しい日々だったと記憶しています。しかし、研究は続ければ続けるほど自分の無力さを痛感するもので、大学を辞めようと思う事も度々ありました。途中から研究の場が東北大学に移り、こちらでは多くの友人に恵まれました。理学研究科だけでなく、薬学研究科の同期とも様々な話をする機会がありました。誰もが大変な筈なのに苦しさを見せずに頑張っている姿を見て、「こんなところでは終われない」と奮起させられました。

終わってみればあっという間でしたが、多くの事を考え、多くの事を学ぶ事が出来た6年間でした。終始熱意あふれる林先生の叱咤激励が無ければスクリプス研究所のBaran研で研鑽を積む機会を得る事は決して出来なかったと思います。このような貴重なチャンスを与えて頂いた林先生に最大限の感謝を示します。また、両親の献身的なサポートがあったからこそ、何一つ不自由なく研究に集中する事が出来ました。長い間ありがとうございました。

最後になりましたが、今回このような機会を設けてくださった東北化学同窓会の皆様に感謝の気持ちを表しますと共に、同会の今後益々のご発展を祈念申し上げます。


ページトップへ


化学専攻賞受賞および青葉理学振興会奨励賞受賞を受けて


山崎 馨


今回は博士課程修了に際して青葉理学振興会賞および化学専攻長賞という賞をいただくことができ,大変名誉に思います.まず何よりも,研究室配属から温かく見守っていただいた指導教員の河野 裕彦教授および数理化学研究室のスタッフ・学生の皆様,そして多元物質科学研究所の上田 潔教授をはじめとする共同研究者の皆様に深く御礼申し上げます.

思い起こせば,博士号取得に至るまで様々な人との「ご縁」がありました.指導教員の河野先生と始めてお会いしたのは,学部1年生の冬(2007年)だったと思います.私が理論化学に興味を持つきっかけとなった学部1年の化学A(化学結合論)を担当された大野公一先生 主催のミニシンポジウムの招待講演者の一人が河野先生でした.その時河野先生が,強い近赤外レーザーパルスを照射されて大きくうねうねと振動するフラーレンC60のシミュレーション動画を見せながら「C60は何十eVものエネルギーを光で注入してもなかなか壊れないのですよ.ね,丈夫でしょ?」といったことを説明されたことが今でも印象に残っております.

その後1年半の学部での勉強と1年間のスウェーデンのUppsala大学への交換留学を経て,河野先生が先述のシンポジウムで講演された「ナノカーボンの転位・解離反応の動力学理論」というテーマで河野先生と一緒に6年弱一緒に研究させていただきました.この研究では,ナノカーボンの物性制御や微細加工を行う上で鍵となる欠陥生成・転位反応・解離反応の反応機構を,C60やグラフェンナノシートなどを対象に,量子化学計算とナノ秒スケールの実時間動力学計算に基づいて理論的に研究しました.また,このようなナノスケール分子の反応動力学のイメージングを目指して,X線自由電子レーザー(XFEL)による超多価カチオ・盗カ成を利用した新規なクーロン爆発イメージングの方法を提案し,C60の近赤外光誘起の大振幅振動のイメージングに適用して,その実効性を明らかにすることができました.これらの研究は河野先生や当時博士課程に在籍しておられた新津 直幸 博士(現 産総研)をはじめとする数理化学研究室のスタッフ・学生の方々のご支援および,上田先生をはじめとする共同研究者の先生方のご協力なしには成しえませんでした.本当にありがとうございました.

さて現在は,青葉理学振興会賞受賞者の大先輩である北海道大学の前田 理(さとし) 准教授と一緒に,化学反応経路自動探索法の拡張とその生体分子の光化学反応への応用についてCREST博士研究員として研究させていただいております.前田グループでは今までなかなか接点がなかった有機化学や触媒化学といった分野との共同研究も活発で,日々新しい刺激を受けながら研究を進めております.今後はさらに視野を広げて,学問分野や国境といった既存の枠を大きく飛び越え,世界中の多領域の研究者とのインタープレーを通して新しい分野を開拓していきたいと考えております.

最後に,このような機会を与えて下さった東北化学同窓会の皆様にお礼を申し上げると共に,益々の御発展をお祈り致します.


ページトップへ


青葉理学振興会奨励賞受賞を受けて


男庭 一輝


この度は,青葉理学振興会様より「平成26年度青葉理学振興会賞」という名誉ある賞を賜り,大変光栄に感じております.この場をお借りして,山本嘉則教授,浅尾直樹教授,金鉄男准教授を始め,これまでお世話になった先生方,研究室のメンバーに御礼申し上げたいと思います.

さて,私は修士1年から5年間,山本,浅尾両教授ご指導の下,研究活動を行ってまいりました.研究室配属当時,原子分子材料科学高等研究機構(以下,AIMR)の機構長として手腕を振るっていらっしゃった山本先生から,AIMRという優れた環境下にいることを利用した分野横断型の研究テーマを頂き,AIMR所属の谷垣研究室と融合研究を始めたことが,今回受賞理由となった研究との出会いでした.その分野横断型の研究テーマとは,有・@半導体を用いた発光トランジスタの開発です.有機合成や分光分析等の化学的側面はもちろんのこと,素子作製・評価等の物理学的側面を多分に含んだこの研究テーマを遂行するに当たり,覚えなければならない技術・理論があまりにも多く,当時の私は右往左往する毎日を過ごしていたと記憶しております.しかしながら,そんな私が今日まで同研究に邁進出来たことは、谷垣克己教授を始めとする共同研究先の先生方や当研究室の皆様方から数多くの温かいご指導・ご鞭撻を頂戴した賜物であり,お世話になった方々への感謝の念に堪えません.

また,理学研究科のみならず,薬学,工学,農学研究科といった研究科を越えた学友達に恵まれ,互いに刺激し合える環境下,切磋琢磨しあえたことが,私自身の成長やモチベーションコントロールに繋がりました.この場をお借りして学友諸氏に心から感謝申し上げます.

現在私は,学術振興会特別研究員として,AIMR浅尾研にて研究活動を行っており,大学院生時代の研究を更に発展させるべく,新規テーマに挑んでいます.今後は,同賞並びに東北大学理学研究科化学専攻の名に恥じることの無いよう,研鑚に励んでいく所存であります.

最後になりますが,このような機会を与えてくださいました東北化学同窓会の皆様に厚く御礼申し上げると共に,本会の皆様の益々のご発展をお祈り致します.


ページトップへ


青葉理学振興会奨励賞受賞を受けて


中島 祐司


このたび青葉理学振興会奨励賞を頂きまして、たいへん光栄に存じます。卒業はおろか、研究室に入ってまだ半年という時期に賞を頂けたことは大きな励みになりますし、より真摯に理学研究に付き合っていかなければならないという身の引き締まる思いでもあります。また、講義や学生実験で丁寧に指導して下さった教員の皆様と、ともに充実した大学生活を過ごしてきた友人たちに感謝申し上げます。

現在私は理論化学研究室で美齊津教授の下、気相クラスターイオンの光解離動力学の研究をしています。解離イオンの反跳速度分布を画像にするため、本研究室で開発した観測装置の調整を行っていますが、課題は少なくありません。詳細な議論に堪えうる画像を得られるよう改良を重ねていきたいと思います。

学部三年までの成績に与えられる賞ということで、これまでの化学の勉強の取り組み方を振り返ってみますと、ことさら化学だけに打ち込んでいたということはなく、むしろ他の教科(物理や数学ときどき一般教養)にも長い時間を掛けた気がします。二年生の春学期には第二外国語の仏語を週に二時間(卒業には不要のようです)も受講してしまい、試験期間には大慌てしました。自ら進んで受講したというのに数日後に迫る試験に理不尽を覚えて、教科書ではなく買い置きした小説を読み始めたり、椅子に座っていられず散歩に出掛けたりもしました。しかしこれで悪い成績をとっては何だか格好が付かないと思い返し、ようやく化学と仏語その他諸々の勉強を再開し、結局悪くない成績がとれて胸を撫で下ろしました。

こうした勉強の仕方が果たして単なる遠回りに過ぎなかったのか、それとも意外な近道であったのかは分かりません。そもそも、効率よく計画的に勉強するというのが性に合わなかったのかもしれません。しかし少なくとも、色々な勉強をするのは良い気分転換になりました。何より、様々な分野を並行して学ぶことは良い刺激になるような気がしています。つまり比較をしながら、違うようで同じもの、同じようで違うものを探して考える。こうした過程を楽しめたのが勉強に対する一つの推進力になっていたと感じています。もちろん、勉強と研究とでは勝手の違うことが多いでしょうから、よくよく理解して慣れていきたいと思っています。

最後になりますが、東北化学同窓会の益々のご発展をお祈り申し上げます。また、今後ともご指導下さいますようお願い申し上げます。


ページトップへ


青葉理学振興会奨励賞受賞を受けて


小林 良


この度は,青葉理学振興会奨励賞という大変名誉ある賞を頂き大変うれしく思っております.恥ずかしながら私はこの賞の存在を受賞するまで知らなかったために,受賞の連絡を受けた際は寝耳に水で大変驚いたのを覚えています.

大学入学から三年間の成績を評価していただいた賞であるとのことですが,現在は研究室に配属され,実験に集中するばかりで座学の時間が減りがちでありました.そのような最中にこの賞を頂くことができ,座学の重要性に立ち返る良い機会となりました.実際の研究においては,座学との違いを実感することもありますが,座学で学んだ反応や理論を日頃の実験において生かすことのできる場面に多々直面します.先日も,直面した問題の解決策となった反応が,教科書にのっているような古典的な反応であったということがありました.これからの研究室生活でも,今回の受賞を糧としながら,現状に甘んずることなく, 幅広い知識の習得に努めていく所存であります.

さて,話は変わりますが,この三年間の大学生活を振り返ってみるとあっという間であったと感じます.入学当初,化学科がクマの出るような山中さらには,冬場に吹雪の雪山と化すとんでもないところに来てしまったと思ったことを最近のことと覚えています.青葉山に登る生活が日常となった今日では,クマに関しては慣れてしまい,入学当時の衝撃は薄れました.これから残りの大学生活も一瞬ですぎていくと思いますが,全力で実りのある学生生活にしたいと考えております.

最後になりますが,この場を借りて大変素晴らしい賞をくださった青葉理学振興会の皆様,これまで様々なご指導を賜りました先生方,また陰ながら大学生活を支えていただきました家族また友人に感謝の意を示したいと思います.ありがとうございました.


ページトップへ


平間賞受賞を受けて


千葉 崇


この度第三回平間賞を受賞しました。平間賞は卒業研究発表に対して与えられるものです。発表に際してお力添えをして下さった研究室の方々、友人、家族、そして特に指導教員の藤井朱鳥准教授にこの場を借りて感謝申し上げます。

卒業研究のテーマは、CH/π相互作用の協同効果の観測というものでした。このテーマを指導教員から伝えられてからしばらくして実験が始まりましたが、当初は実験装置のどこで何が起こっているか想像することが出来ず右往左往していました。何より研究テーマの面白さが分からず、そのため実験のモチベーションもほとんどありませんでした。元々私は自然に対する興味が薄く、「得意だから」という理由で化学科に入り、そのまま四年生になっていたぼんくらだったので当然と言えば当然でした。ただ、藤井准教授の指導の下で研究を進めていくうちに、与えられたテーマ、研究そのものの面白さを掴めていったように思います。卒業研究発表の場で、少しでも面白さを伝えられていたならば幸いです。

現在の研究テーマは卒業研究とは異なり、置換トルエンのメチル基内部回転ポテンシャルに影響を及ぼす超共役について調べています。この研究成果とテーマの面白さについてもいずれお話する機会があればと思っております。

最後になりましたが、このような機会を与えていただいた東北大学同窓会の方々に感謝申し上げるとともに、皆様の益々のご発展をお祈り申し上げます。


ページトップへ


平間賞受賞を受けて


前島 夏奈


この度、平間賞を頂戴しました。これまで私に関わってくださった、錯体化学研究室のみなさま、化学教室の先生方、同期の友人たちに、この場を借りて御礼申し上げます。

平間賞は優れた卒業研究に対して与えられる賞ですが、学部の一年半でできる研究ですから、内容というよりもこれまでの取り組みの一生懸命さを評価していただけたのだと思っております。

人よりも遅れて大学に入った私にとって、大学での勉強は非常に楽しいものでした。学べば学ぶほど、知らないことが出てくる。どこまでも終わりがない。成績はたいしてよくありませんでしたが、とにかく楽しかった。熱心に授業をしてくださった先生方、ありがとうございました。

山下研究室では、磁性錯体の研究をしていました。化学科では磁性についてはほとんど勉強しないので、初めはわからないことばかりで大変でした。化学は理詰めで考えるよりは、ひたすら実験をして経験から学ぶ学問であると思います。私は理屈っぽい人間なのですが、実際に測定をして、結果をまとめて・ン・ト初めて理解できた部分が多くあり、まずは手を動かしてみることの大切さを実感しました。

研究室に入って一番成長したと思うのは、人に協力を仰げるようになったことです。自分なりに文献を調べて実験計画を立てるわけですが、実験装置の組み立ても測定も、経験がないと一人ではできないものです。実験がうまくいかないとき、経験の浅い私が思いつく解決策は限られていて、どうすればいいのかわからなくなることがありました。こういうとき「忙しいかな」「迷惑かな」と思って、初めはなかなか助けを求められずにいたのですが、最終的には図々しくお願いできるようになりました。直接指導して下さった影澤助教を始め、お忙しい中協力してくださった研究室の皆様、ありがとうございました。

私は他大学の、物理系の研究室に進学しました。東北大に不満があったわけではなく、他の大学、分野がどんなものか見てみたいと思ったからでした。今は新しい環境に慣れるのに手一杯ですが、将来は化学科出身であることを生かした研究ができればいいなと考えています。

私はこれまで賞とは無縁の学生生活を送ってきました。部活も勉強も、自分なりに頑張ってきたつもりですが、表彰されるほどの結果を残せたことはありませんでした。大学生活の最後に、このように頑張りを評価してもらえたことは、私にとって大きな喜びです。他大学の大学院に進学したにもかかわらず、賞に推薦してくださった山下先生には本当に感謝しております。

東北大学理学部化学科を卒業できたこと、平間賞を受賞できたことは私の誇りです。

最後になりましたが、このような機会を与えてくださった東北大学同窓会様に感謝申し上げるとともに、皆様の益々のご発展とご多幸を祈念申し上げます。


ページトップへ


平間賞受賞を受けて


芳井 朝美


この度,卒業課題研究を評価していただき,誠にありがとうございます.平間賞を受賞することができましたことを大変光栄に感じております.

この1年半,良い環境で研究を行・ヲたと感じております.東北大学では最先端の研究を行っており,新しい研究棟も建設されたことで快適に実験を行うことができ,建物の外に出れば自然溢れる心地よい良い空気に触れることができます.研究を行う上で本当に恵まれた環境であり,そんな環境で研究を自分でも行えたことを誇りに思います.

研究室に通う日々は,楽しい時や達成感を味わえる時も,お腹を抱えて笑う時もありましたが,実験がうまくいかず逃げ出したくなる時もありました.しかし,困難があってもめげずに立ち向かっていく周りの先輩たちの背中を見ると,自分自身も奮起され,”もう一踏ん張り”の気持ちを持ちつづけることができました.また,実験の方向性がわからなくなってしまった時は先生たちに道標を示していただき,時には熱いディスカッションにより研究の理解度を深めることができました.今回評価していた研究は,決して私一人の力だけではなく,先生方や先輩方に支えられ,共に研究をしてきた結果だと思います.

私自身が研究を通して辛かったことは,常日頃から自分と先輩と比べて実験スピードのギャップを感じることです.手を抜いているつもりはないのですが,自分より結果が出ており,実験が進んでいる先輩を見てどうしてあんなに先に行ってしまえるのかが不思議でした.しかし,そのおかげでさらに“もう一踏ん張り”しようとの気持ちを持つことができました.最後までやりきるのは大変でしたが,自分にも成果が実った時は達成感が満ち溢れました.

この賞を受賞でき,行ってきた研究を認めていただき本当に嬉しく思います.研究に打ち込める研究室で,研究を親身に見ていただいた先生方,優しく助けてくださった先輩や後輩方に巡り会うことができて本当に嬉しく思います.この場をお借りしまして,日頃から熱心に教育していただきました教授,ならびに准教授,助教の方々,そして研究室の先輩,後輩の皆様に感謝を申し上げたいと思います.本当に有難うございました.

また,平間賞に選出していただきありがとうございます.まだ未熟なところは多々ありますが,一歩ずつ研究を進めて化学に向き合っていく中で一人の化学者としても人物としても成長していけるように参りたいと思います.

ページトップへ


トップ ホーム