新任教授寄稿
化学専攻で固体化学の研究室が始動
境界領域化学講座 無機固体物質化学研究室 福村 知昭
平成27年4月より、境界領域講座の無機固体物質化学研究室の教授に着任いたしました。フタロシアニン研究で知られる小林長夫先生の機能分子化学研究室から研究分野が大きく様変わりし、これまで化学専攻にはなかった固体化学や固体材料の研究分野の研究室ができたことになります。化学教室の皆様方や同窓会の方々にはよろしくお願い申しあげます。
仙台の生活は二度目になります。平成13年5月から平成22年5月まで、金研の川ア雅司先生の研究室に助手から准教授まで在籍していました。その間、協力講座として化学専攻を兼担し、化学科から配属された大学院生を指導し、化学専攻の無機分析分野の修士や博士の発表会には参加しましたが、一番楽しかったイベントは川渡セミナーハウスでの無機分析コロキウムです。その後、東京大学化学専攻の長谷川哲也先生の研究室に移りましたが、幸い仙台に戻ることになり、緑が輝く青葉山で新たに研究を始められることに喜びを感じています。学生の頃に高温超伝導体の物性計測技術の開発に携わって以来、研究の対象は主に酸化物で、現在は酸化物エレクトロニクス・スピントロニクス材料の物質・物性探索に携わっています。高温強磁性体や新超伝導体といった長い目で見て役に立つ可能性のある酸化物の物質化学を研究していますが、サイエンスを探究することでイノベーションにつなげられればと考えております。短期間ですが、山形大の城戸淳二先生やカリフォルニア大のAlan Heeger先生に、有機エレクトロニクスの薫陶を受・ッたこともあり、これからはもっと広く研究分野を展開することも望んでいます。
これまで指導してきた学生は博士課程まで進学するケースが多く、これからも科学的な思考と方法論を備える多方面で活躍できる人材を育てていきたいと思います。そのためには、第一線の研究成果を挙げ、研究環境を整備すべく研究資金も獲得しないといけません。ただし、成果至上主義に走らず、広い視野で国の将来を見据えておられた指導教官の北澤宏一先生に近づくことができるよう努力する所存です。