化学教室便り
化学教室この一年
化学専攻長・学科長 磯部寛之
同窓会会員の皆様におかれましては,ますますご清祥のこととお慶び申し上げます.本年度は磯部が化学科長および化学専攻長を務め,学科委員の岩本武明教授とともに化学教室・化学専攻の運営に当たっております.
平成24年3月には,有機化学講座有機分析化学研究室の平間正博教授が定年退職されました.平成16年度の本会報にて「三途の川を渡る寸前」とご自身でご紹介頂いておりましたが,その後,大変にご快復され,長年に亘る研究活動の歩みを止めることなく,また化学教室のみならず理学部,あるいは東北大学全体のために,また日本の化学会のためにも尽力いただきました.とくに震災後の研究復興に雄々しく挑む平間先生のお姿に,我々後進の者は大きな力をいただきました.ここにあらためて平間教授の業績を称えるとともに,多大の貢献に感謝の念を表したいと存じます.なお,平間教授は,客員教授として現在も本研究科に在籍して研究を継続されております.
本年度は,平間教授の篤志により「平間賞」を設立する運びとなりました.東北大学理学部化学科を卒業する将来性豊かな若き化学者の成長を祈念し,学部4年生の優れた卒業研究を表彰するもので,その設立には,本教室から一人でも多くの前途有為の若者を産み出し続けようという化学教室教員の思いが込められています.歴史を紐解いてみますと,化学教室は1914年に最初の学部卒業生7名を送り出しています.2013年の卒業生は,記念すべき第100期生ということになり,卒業生を称える新しい賞を設けるに相応しい好機であったかと感じております.
さまざまな変革・施策に柔軟かつ迅速に対応することが求められる大学環境となっておりますが,平成24年度に有機化学講座で新たに研究室を始動した林雄二郎教授(有機化学講座有機分析化学研究室)と豊田耕三教授(有機化学講座学際基盤化学研究室)を加え,最高の教育・研究体制を整えるべく一同,邁進しております.とくに,学際基盤化学研究室に学生実験等の基盤教育施策の舵取りを担っていただくことで,激動期にある大学・大学院環境を俯瞰した効果的な教育施策が可能となると期待されています.
平成24年2月1日から平成25年1月31日までに異動された方々は以下の通りです.
准教授 GRIDNEV, Ilya D. 24.3.1付 採用
教授 平間 正博 24.3.31付 定年退職
助教 岡田 洋史 24.3.31付 退職
化学専攻事務室
専門職員 齋藤 一男 24.3.31付 定年退職
化学専攻事務室
主任 山内 美由紀 24.3.31付 異動 医学分館へ
化学専攻事務室
事務職員 齋藤 知子 24.3.31付 異動 農学研究科へ
助教 一杉 俊平 24.4.1付 採用
助教 近藤 梓 24.4.1付 採用
化学専攻事務室
専門職員 泉 雅大 24.4.1付 異動 電子光理学研究センターから
化学専攻事務室
主任 蓑輪 万希子 24.4.1付 異動 病院医事課から
化学専攻事務室
主任 冨田 実喜子 24.4.1付 異動 教育・学生支援部から
教授 林 雄二郎 24.7.1付 採用 東京理科大学工学部教授から
教授 豊田 耕三 24.9.1付 昇任 有機化学講座准教授から
助教 小安 喜一郎 24.12.31付 退職 東京大学理学系研究科准教授へ
講師 山下 修治 25.1.1付 昇任 有機化学講座助教から
講師 LEAR, Martin J. 25.1.4付 採用 シンガポール国立大学から
大変,残念なことに平成24年9月,山内清語教授が急逝されました.ご冥福をお祈りすると共に,山内教授の業績を称え,長年に亘る化学教室への貢献に感謝申し上げたく存じます.
昨年度の同窓会会報の本項でも,美齋津前専攻長から紹介がありましたが,本年度も化学教室は震災からの完全復興に向けた歩みを続けております.本年度にはようやく化学棟の復旧工事に目処がつき,現在,6階以上の上層階部の移転先となる免震構造を備えた新棟計画が進み,平成26年度内での竣工に向け設計の最終段階に入ろうとしているところです.さらに長年の懸案であった低層階部の耐震改修工事が始まることとなり,化学教室では物理・化学合同棟(旧称物理C棟)と化学系学生実験棟が改修されることとなりました.安全な研究・教育環境を整えるべく,美齋津教授と豊田教授を中心に計画が始まっております.
教育施策では,本年度は「卓越した大学院拠点形成支援補助金」の助成を受け,グローバルCOE後の大学院生教育に充てております.先端物質科学コース,先端理学学際コースという国際性豊かな教育環境とともに,本教室での人材育成に努めています.
以上,化学教室の近況をご報告申し上げました.
今後も一層の発展に向けて,化学教室の構成員一同力を合わせて努力していく所存ですので,同窓会の皆様のご協力とご支援をお願い申し上げます.
末筆ながら,皆様の益々のご健康とご発展をお祈り申し上げます.
平成24年3月5日
平成24年度平間賞受賞者