化学教室便り


化学教室この一年


化学専攻長・学科長 美齊津 文典


 同窓会会員の皆様におかれましては、益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
本年度は美齊津が化学科長および化学専攻長を務め、学科委員の磯部寛之教授とともに化学教室・化学専攻の運営に当たっております。

 化学教室はその伝統の下、世界に誇れる独創的な研究を続けて参りました。特に、文部科学省の研究教育拠点形成プログラム、いわゆるCOE(Center of Excellence)プログラムが、平成14年から化学・材料科学の分野から卓越した研究拠点として、本教室を中心とする化学系の専攻に採択されています。なかでも、化学・材料科学分野の全国13拠点の一つとして、平成19年から平成24年3月まで、グローバルCOEプログラム「分子系高次構造体化学」が採択されてきました。また、研究教育の国際化も急速に進められています。学部教育では、大学の国際化のためのネットワーク形成推進事業(グローバル30)として、海外からの留学生を対象とした国際学士コースの一つである「先端物質科学コース」が化学科に設けられ、平成23年秋に第一期生が入学しました。また、理学研究科の大学院英語コース「先端理学学際コース(IGPAS)」も10年近く前から進められています。これらに加えて、大学の世界展開力強化事業(日中韓のトライアングル交流事業・キャンパスアジアプログラム)「持続的社会に貢献する化学・材料分野のアジア先端協働教育拠点の形成」が平成23年末に採択され、東北大学のオール化学分野と日中韓五大学との間の教育・研究相互交流が進められる予定です。このような高いアクティビティーに伴って、多くの方々が転入・栄転されました。平成21年度には有機化学講座で岩本武明教授が、また物理化学講座では美齊津が、それぞれ准教授から昇任して、新たに研究室を運営しています。

 平成21年2月1日から24年1月31日までに採用や異動された方々は以下の通りです。


硝子機器開発・研修室
技術職員 柴崎 正行    21. 3.31付 退職

化学専攻事務室
事務職員 赤羽 正光    21. 3.31付 異動 教育・学生支援部へ

化学専攻事務室
事務職員 鳳城 憲一    21. 3.31付 異動 多元物質科学研究所へ

教授   岩本 武明    21. 4. 1付 昇任 境界領域化学講座准教授から

教授   美齊津文典    21. 4. 1付 昇任 物理化学講座准教授から

化学専攻事務室
主任   山内美由紀    21. 4. 1付 異動 国際文化研究科から

化学専攻事務室
事務職員 齋藤 知子    21. 4. 1付 異動 教育・学生支援部から

硝子機器開発・研修室
技術職員 柴崎 正行    21. 4. 1付 再雇用

講師   中西 和嘉    21. 5. 1付 採用 千葉大学大学院薬学研究科助教から

助教   塚野 千尋    21. 5.31付 退職 京都大学大学院薬学研究科助教へ

助教   徐  志愛    21. 6. 1付 採用

講師   石田真太郎    21. 7. 1付 採用 群馬大学大学院工学研究科助教から

助教   渡邉 孝仁    21. 7. 1付 採用

助教   小安喜一郎    21. 9. 1付 採用 慶應義塾大学理工学部助教から

化学専攻事務室
事務職員 大丸裕美子    21. 9.29付 異動 本部財務部へ

化学専攻事務室
事務職員 渋谷 敦史    21.10. 1付 異動 医学系研究科から

講師   福田 貴光    22. 3.31付 退職 大阪大学大学院理学研究科講師へ

助教   MACK John    22. 3.31付 退職

助教   山口 央     22. 3.31付 退職 茨城大学理学部准教授へ

巨大分子解析研究センター
技術職員 近藤 武善    22.  3. 31付 退職

准教授  高橋 英明    22. 4. 1付 採用

助教   佐藤 雄介    22. 4. 1付 採用

硝子機器開発・研修室
技術職員 佐藤 由佳    22. 4. 1付 採用

巨大分子解析研究センター
技術職員 近藤 武善    22.  4.  1付 再雇用

助教   古山 渓行    22. 7. 1付 採用

助教   保木 邦仁    22. 7.31付 退職 電気通信大学先端領域教育研究センター特任助教へ

助教   中村 葉子    22. 7.31付 退職

助教   菅野 学     22.10. 1付 採用

助教   岡田 洋史    22.11. 1付 採用

助教   山北 佳宏    23. 2.28付 退職 電気通信大学大学院情報理工学研究科准教授へ

准教授  宮坂 等     23. 3.31付 退職 金沢大学大学院自然科学研究科教授へ

助教   岡田 正弘    23. 3.31付 退職 中部大学応用生物学部講師へ

助教   石丸 泰寛    23. 4. 1付 採用

化学専攻事務室
主任   藤王 郁子    23. 6.30付 異動 宮城教育大学へ

化学専攻事務室
事務職員 渋田 綾磨    23.  7.  1付 異動 文学研究科から

准教授  柴田 穣     23. 8. 1付 採用

講師   田村 理     24. 1. 1付 採用


 化学教室が開講百周年を迎えた平成23年は、皆様ご存知のように大きな災害に襲われた一年となりました。3月に東日本の沿岸部を襲った大震災では,青葉山キャンパスの東北大学理学研究科化学棟も、上層階を中心に大きな被害を受けました。特に化学薬品を取り扱うドラフトや実験台などが移動して薬品が散乱し、一部薬品庫から火災も発生しました。また、磁気共鳴や質量分析のための大型機器の倒壊なども多く見られました。このような経験をもとに、将来再び来る同様の震災に向けて化学実験室のあるべき姿について共通の理解を得るため、防災・日本再生シンポジウム「東北地方の化学と教育:3.11から189日の歩み」(東北大学大学院理学研究科、日本化学会東北支部、国立大学協会共催)が平成23年9月16日に東北大学にて開催されました。このシンポジウムでは、東北地方の化学教育・研究に携わる以下の高校・大学教員の方々を招いて、被災経験と復興状況、昭和53年の宮城県沖地震からの対策とその限界、原発避難の現状などが紹介され,それに対する質疑・討論が行われました。また、このシンポジウム以外にも、各種メディアによる震災に関連した取材対応や寄稿も、化学教室教員によって数多くなされました。

 大きく被災した化学棟上層階に代わって、急遽プレハブ棟(化学研究室別館)が建設され、平成23年10月に使用が開始されました。さらに、年度末にかけて化学棟の復旧工事が進められています。また、免震構造を備えた新たな建物が、理学研究科に建設されることが決定していいます。この建物へは、一部の研究室が移転する計画が進められています。

 以上,化学教室の近況をご報告申し上げました。

 今後も一層の発展に向けて,化学教室の構成員一同力を合わせて努力していく所存ですので,同窓会の皆様のご協力とご支援をお願い申し上げます。

 末筆ながら,皆様の益々のご健康とご発展をお祈り申し上げます。


平成23年3月12日


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