化学教室この一年
化学専攻長・学科長 河野裕彦
同窓会会員の皆様におかれましては、益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
本年度は河野が化学科長および化学専攻長を務め、学科委員の山下正廣教授とともに化学教室・化学専攻の運営に当たっております。
化学教室はその伝統の下、世界に誇れる独創的な研究を続けて参りました。内外からの高い評価は、例えば、文部科学省の研究教育拠点形成プログラム、いわゆるCOE(Center of Excellence)プログラムの採択を見てもご理解いただけることと思います。平成14年には21世紀COEプログラム「大分子複雑未踏化学」(拠点リーダー山本嘉則教授)が採択され19年まで5年間続きました。化学・材料科学の分野から卓越した研究拠点として選ばれた21拠点のうちの一つです。その高い評価を受けて、平成19年にはグローバルCOEプログラム「分子系高次構造体化学」が採択されました。この年に化学・材料科学分野で選ばれた拠点は全国で13拠点だけでした。このような高いアクティビティーに伴って、多くの方々が転入・栄転されました。平成19年度には分子科学研究所から森田明弘教授が、また東京大学から磯部寛之教授が着任され、新たに研究室を運営されています。
平成18年10月1日から21年1月31日までに採用や異動された方々は以下の通りです。
技術職員 阿部比佐久 19. 3. 31付 退職
化学事務室長・専門職員 猪股田鶴子 19. 3. 31付 退職
化学事務室主任 結城恵子 19. 3. 31付 退職
教 授 甲 國信 19. 3. 31付 退職
教 授 吉良満夫 19. 3. 31付 退職
教 授 藤村勇一 19. 3. 31付 退職
助教授 長谷川喜範 19. 3. 31付 退職
化学事務室長・専門職員 齋藤一男 19. 4. 1付 加齢医学研究所用度係長から
化学事務室主任 佐々木京子 19. 4. 1付 医療短期大学教務係主任から
教 授 森田明弘 19. 4. 1付 採用
助 教 堀本訓子 19. 4. 1付 採用
助 教 保木邦仁 19. 4. 1付 採用
助 教 石山達也 19. 4. 1付 採用
助 教 水本義彦 19. 4. 1付 採用
教 授 磯部寛之 19. 5. 1付 採用
助 教 畑中耕治 19. 5. 15付 北海道大学へ
巨大分子解析研究センター
准教授 佐藤 格 19. 7. 1付 採用
助 教 村中厚哉 19. 7. 31付 辞職
助 教 藤野智子 19. 8. 1付 採用
助 教 梶本真司 19. 8. 1付 採用
助 教 Mack, John 19. 9. 19付 採用
巨大分子解析研究センター
助 教 甲 千寿子 20. 3. 31付 退職
化学事務室主任 五十嵐久子 20. 3. 31付 退職
巨大分子解析研究センター
技術職員 佐々木和男 20. 3. 31付 退職
化学事務室主任 前野隆彦 20. 3. 31付 国際交流部国際交流課 国際学術係長へ
化学事務室主任 藤王郁子 20. 4. 1付 宮城教育大学学務主幹付け 修学支援専門職付け主任から
化学事務室主任 赤羽正光 20. 4. 1付 歯学部・歯学研究科会計係 主任から
巨大分子解析研究センター
助 教 權 垠 相 20. 4. 1付 採用
助 教 塚野千尋 20. 7. 1付 採用
助 教 伊藤繁和 20. 7. 31付 東京工業大学へ
21世紀は化学教室にとっても激動の世紀です。平成16年の国立大学法人化後は、ますます成果主義が強調され、大学間の競争が激化しております。一方、研究の成果を広く社会に還元することも求められています。例えば、化学教室ではオープンキャンパスや高校での出前授業などの活動をしております。昨年も、例年通り7月30日、31日の2日間、理学部でオープンキャンパスを開催いたしました。化学教室では、両日とも学科・研究紹介に加えて、福村裕史教授による体験授業「光と分子」、そして5つの研究室による公開実験と研究室紹介を行い、大変好評でした。最先端の分析機器が並んだ巨大分子解析研究センターも公開しました。
今年のオープンキャンパス参加者数は理学部全体で4,370名、化学科を訪れたオープンキャンパス参加者は1,725名で、理学部を訪問した人数の約40%が化学科を訪れていることになり、大盛況のうちに終わりました。
7月31日には、オープンキャンパスの慰労会と普段川内キャンパスで授業を受けている1、2年生との懇親会を兼ねた「化学教室夕べの集い」を理学部の青葉山キャンパスで開催しました。80名以上の教員、学生が親睦を深める機会となり、化学教室の結束をより固めることが出来ました。1、2年生も積極的に後片付けを手伝っていたことが印象的でした。
岸本直樹庶務幹事が将来の同窓会会員である学部生に、この「化学教室夕べの集い」は同窓会からも支援を受けていることをはじめとして同窓会の活動について説明されました。同窓会の浄財を教員と学生の繋がりを深める場にも使わせていただき、大変感謝しております。
また、化学教室では、一般向けの講演会なども開催しております。平成19年9月18日には、C60フラーレンの発見者のお一人H. W. Kroto博士(1996年度のノーベル化学賞受賞)を大野公一教授が招聘され、放送大学共催で講演会「地上に舞い降りた宇宙の球:フラーレン」を化学教室で開催しました。その後、化学科の学部学生が博士に英語で質問しました。事前によく考えて質問を用意したため、質疑の内容も充実したものになったようで、学生にとって化学を英語で考える良い機会となりました。ノーベル賞受賞者の考えに触れ学生達も大いに刺激を受けたようです。
最後に、昭和47年に建てられた青葉山キャンパスの化学棟が改修されたことを報告させていただきます。施設整備担当の寺田眞浩教授の指揮の下、平成19年5月から改修のため化学棟内の研究室が順次他の建屋に移動するという、まさに、"化学教室大移動"が始まりました。8月から始まった改修工事は、20年2月末にようやく修了し、5月の連休には全研究室が改修後の部屋に戻ることが出来ました。化学棟では、最先端の測定機器を集めて余剰のスペースを生みだし、冷暖房はガスにするなどの工夫をしております。同窓会会員の皆様にも是非新しい化学教室を見ていただきたいと願っております。ご来訪をお待ちしております。
以上,化学教室の近況をご報告申し上げました。
今後も一層の発展に向けて,化学教室の構成員一同力を合わせて努力していく所存ですので,同窓会の皆様のご協力とご支援をお願い申し上げます。また、平成23年には化学教室は開設以来100周年を迎えます。いくつかの事業を企画しておりますので、皆様のさらなるご協力とご支援をお願い申し上げます。
末筆ながら,皆様の益々のご健康とご発展をお祈り申し上げます。
平成21年2月27日