学生受賞記念寄稿



東北大学総長賞及び青葉理学振興会賞を受けて   青木 拓磨

化学専攻賞受賞記念寄稿   古樫 加奈子

化学専攻賞受賞を受けて   山下 琢磨

青藤瀬新一郎博士奨学賞を受けて   伊藤 悠吏

藤瀬賞受賞を受けて   内田 海路

平間賞受賞記念寄稿   佐々木 聡

平間賞受賞を受けて   小野 拓実

平間賞受賞を受けて   服部 圭吾

青葉理学振興会奨励賞受賞を受けて   金澤 輝石

荻野博・和子奨学賞受賞を受けて   伊藤 亮佑


東北大学総長賞及び青葉理学振興会賞を受けて


青木 拓磨


2019年3月に卒業するにあたり、東北大学総長賞及び青葉理学振興会賞をいただくことができ、大変うれしく感じております。これらの賞を選出してくださった諸先生方に厚く御礼申し上げます。私は、研究室に配属された学部3年生後期から6年半の間、反応有機化学研究室に所属し、寺田眞浩先生のご指導の下、研究生活を送ってきました。配属当初のことを思い出しますと、つい最近の出来事であるかのように感じられます。私がこの研究室に入ろうと思った理由は、「この研究室であれば自分自身が成長できるであろう」と考えたからです。実際、寺田先生を始めとし、多くの先生方に助言をいただくことができ、非常に素晴らしい経験を積むことができました。自分がどれほど成長できたのかは、客観的に判断しかねるところではありますが、これらの賞を頂けたことが一つの自身となることに間違いはありません。私は、研究室に配属された当初から「[1,2]-phospha-Brook転位」と呼ばれる転位反応を一つの鍵反応とした触媒的炭素-炭素結合生成反応の開発を行ってきました。この[1,2]-phospha-Brook転位は、制約の多い転位反応であり、このテーマをもらった当初は、自分が博士課程後期を修了するまでの長期的なテーマになるとは思ってもいませんでした。このテーマが大きな広がりを持つきっかけとなったのは修士2年の時に行った研究がきっかけです。一つのテーマが終わり、新たな反応を探索している過程で、「今まで使ってこなかった基質に [1,2]-phospha-Brook転位を適用してみよう」という、ちょっとした遊び心がターニングポイントであったように感じます。私は、この「遊び心」が研究の醍醐味であり、研究の面白さであると感じます。ぜひ後輩の皆さんも、この遊び心を忘れずに研究生活を過ごしていただきたいと思います。さて、現在私は、東北大学を巣立ち、企業へ就職しました。社会人としてのスタート地点に立ち、また一から多くのことを学ばなければなりません。しかし、東北大学理学部・理学研究科で培った考え方、精神は今後も必ず活きてくるものであると信じています。これらの頂いた賞に泥を塗らないよう全力で努力していきたいと考えています。最後になりましたが、このような寄稿の機会を与えてくださった東北化学同窓会の皆様に厚く御礼申し上げるとともに、ますますのご発展をお祈り申し上げます。


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化学専攻賞受賞記念寄稿


古樫 加奈子


この度は、化学専攻賞という名誉ある賞をいただくことができ、大変光栄に思います。ひとえにご指導くださった先生方や先輩方・研究室の皆様のおかげと存じます。3年時の配属から博士後期課程卒業までご指導いただきました磯部寛之教授をはじめスタッフの皆様、また指導委託をご快諾いただきました上田実教授に心より感謝いたします。
 卒業した今振り返ると、3年生で配属されたときは博士後期課程の先輩がずいぶんかっこよく見えたのを思い出します。自分がそんな立派な博士学生になれたかというとあまり自信がありませんが、研究室に入って初めてのセミナー発表で緊張のあまり散々なプレゼンを披露したことを思い出しますと、最後の博士論文審査では我ながら納得のいく発表ができたなと、多少なりとも成長を感じることができています。6年半の研究室生活の間に、有機合成化学を基盤として核酸化学から材料化学・超分子化学など、様々な研究経験をさせていただきました。熊の出る北青葉山キャンパスから鈴を鳴らしながら帰ったのも良い思い出です。博士後期課程1年の途中からは、磯部教授の東京大学へのご異動に連れて行っていただく形で東京留学となりました。最先端の研究環境を新しく作り上げる現場に立ち会えたことは大変貴重な機会であったと思います。長いようで短いけれど密度の高い学生時代を過ごすことができました。
 これまで研究を通して境界領域を含む様々な分野の化学に触れることができ、専門分野の枠を超えて新たな化学に触れることの楽しさを知りました。現在私は企業の研究者として働きはじめ、また学生時代とは違う分野の化学に出会うことができそうです。私のように企業に就職すれば特に、大学で研究したことがそのまま仕事になることは少ないでしょう。社会に出てからの長い研究生活に比べれば、大学で研究したことなんて人生のほんの少しに過ぎないとも言います。それでも私は、大学の研究室で博士後期課程までかけて学んできたことの全てが今の私を作りこれからの私を支える糧となる、価値あるものだったと感じています。東北大学で学ぶことができて本当に良かったと思いました。東北大学化学教室の卒業生として、この化学専攻賞の名に恥じない研究者となっていきたいと思います。最後に、このような機会を与えてくださった東北大学化学同窓会の皆様に感謝申し上げると共に、今後の益々のご発展をお祈り申し上げます。


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化学専攻賞受賞を受けて


山下 琢磨


 この度は化学専攻賞を賜りまして,大変光栄に存じます. この場を借りして,博士論文の指導にあたってくださった木野准教授,折に触れて貴重な助言をいただきました関根教授・岡助教,放射化学・環境放射化学研究室の皆さんに心より御礼申し上げます。 また、選考に関わられました先生方に感謝申し上げます。
 学部3年次の研究室配属から6年半,私は放射化学研究室にお世話になりました.研究室見学のときに案内してくださった先輩方から,ポジトロニウムという,電子とその反粒子からなる「無核の原子」について聞き,そんな奇天烈なものがあるのか,ならば普段勉強している「電子」軌道とは一体何だったのか,と新鮮に感じて配属希望を出した覚えがあります.配属から今に到るまで,陽電子,ミュオン,反陽子といった「風変わりな」粒子が原子と作るエキゾチックアトムに興味を持って,理論計算の立場から研究してきました.少数個の量子力学的な粒子の運動をできるだけ精密に解く,という研究姿勢は,学部生だった私には一見簡単な方針であるように見えたものの,いざ実際に研究を始めてみると,すぐに様々な難しさを含んでいることがわかりました.ブラックボックスの少ない計算コードに触れ,アレンジを加えて新たなコード開発をする機会に恵まれ,理論的にも技術的にも大変勉強になりました.「計算して初めてわかることがある」といえば月並みですが,時に予想や直感を超えた現象に出会うと,原子や分子の背後にある,普遍的なクーロン多体系の「妙」に感じ入ることもありました.散文的なその妙を,束ねて体系化することができれば,新しい化学の柱が生まれるかもしれません.まだまだ道半ばで,足がかりも決して多くはありませんが,めげずに研究を続けていきたいと思います.
 私が在学時の放射化学研究室では,理論計算によるエキゾチックアトムの研究に加えて,東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所事故後の調査研究や陽電子放出放射性核種を用いた実験研究,高分子の放射線化学過程の実験研究など,多岐にわたる分野を比較的少人数の学生が,それぞれ自分のテーマを持って研究していました.直接的には関係のない分野でも,セミナー等を通して話を聞いているうちに,徐々に理解が進み,幾分踏み込んだ議論もできるようになってきました.また,博士後期課程の間,Uppsala大学のP. Froelich教授を中心に,反水素原子の共同研究を通して海外の研究者と継続的に議論をする機会に恵まれました.分野・国を越えた研究遂行の力も,この化学教室で学んだ貴重な経験であると感じております.
 私は現在,理化学研究所・仁科加速器科学研究センターに所属しております.博士課程では手が届かなかった物質・反物質間化学反応の精密理論計算と,その核物理学・素粒子物理学への応用を目指して,研究を続けております.
 最後になりますが,東北化学同窓会の皆様に深く感謝申し上げるとともに,今後の益々の御発展を祈念いたします.


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藤瀬新一郎博士奨学賞を受けて


伊藤 悠吏


 この度、藤瀬新一郎博士奨学賞を受賞いたしました。名誉ある賞を受け、大変嬉しく思います。また、このような特別な機会を設けてくださった東北化学同窓会の皆様に深く御礼申し上げます。大学院入試の成績に対する賞ということで、当時を思い出しながら書いてみようと思います。
 院試勉強は、試験の半年ほど前から研究の片手間に少しずつ行なっていました。院試勉強は、化学の広い分野を学び直すとても良い機会だと思います。その中で得られた知識は、自分の専門的な研究にも厚みを持たせてくれるはずです。そういったモチベーションのもとで、物化・無機・有機の全分野で満遍なく点をとる、ということを目指しました。いっせいに勉強し直してみると、化学という学問が本来は一続きであるということが本当によく分かります。分野の細分化は、興味の対象をより深く理解する際には有効かも知れませんが、化学の世界に足を踏み入れたばかりの若い身分にとってはむしろマイナスです。各分野を均等に見ることで初めて、化学全体を串刺しにする普遍的で重要な概念に気づけると思います。講義で別々に教わっていたときには分からなかった分野間の繋がりを、院試勉強中に何度も発見できました。
 現在は、所属する理論化学研究室で光解離反応の動力学に着目した研究を行なっています。化学反応の素過程に関する基礎的な研究です。化学反応の結末はすべて原子・分子たちの振る舞いに左右されていますが、彼らにとっては、自分が超高層大気に浮遊しているのか、生体内でタンパク質に覆い囲まれているのかは全く関係がなく、いつでも決まった法則に従って動いているにすぎません。したがって、その共通の法則を一度明らかにしてしまえば、シチュエーションを問わず様々な領域で反応の結果を予測できるようになります。こうして考えてみると、院試勉強で培った分野横断的な視点が良く活きる研究に就けているのかもしれません。
 院試の成績そのものにあまり意味があるとは思えません。いい点数を取るには運も必要でしょうし、そもそも希望の研究室に入りさえすれば良いのだから、そこまで気合いを入れていない人も大勢いたでしょう。よって結果よりも、上に書いたように、その過程で得られることの方がずっと重要だと思います。これから院試を受ける方の参考になれば幸いです。
 最後に、改めて東北化学同窓会の皆様へ感謝申し上げます。同会の益々のご発展を祈念いたします。


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藤瀬賞受賞を受けて


内田 海路


この度、藤瀬賞を受賞いたしました。このような名誉ある賞を受賞することができ大変光栄に感じています。受賞に当たり、日頃からご指導いただいている山下正廣先生にこの場を借りて感謝申し上げたいと思います。また、熱心に勉強を教えていただいた研究室の先輩方、共に勉強した友人たちにも感謝いたします。

私が院試勉強に臨む前に心掛けていたことは、目的意識をもって勉強に取り組むことととにかく毎日筋トレをしようということでした。自分の所属している山下研では院試休み前に院試壮行会なる飲み会が開かれ、四年生は一人ずつ目標を言うのですが、そこで自分は「一番になる」と宣言することで明確な目標を持つとともに本気で取り組むため自分を追い込もうと考えました。院試期間中の一日を振り返ってみると、朝はランニングと筋トレから始まり、昼からは図書館にこもって閉館時間まで勉強するという生活が二か月弱続きました。この短いようで長い期間をだれることなく集中して勉強し続けることが出来たのは、明確な高い目標を決めたことと毎日の筋トレを怠らなかったことが大きかったように感じます。実際の結果として一番ではなかったので少し悔しくはありますが、藤瀬賞を受賞するほどの結果を残すことが出来たことについては素直にうれしく感じています。 現在私は錯体化学研究室に残り、金属錯体ならではの特性を生かした新しい物性開拓を目標に日々研究に取り組んでおります。金属錯体の研究には無機化学・有機化学の複合的な知識が求められ、さらにその物性を議論するとなると物理化学や物理の知識を要求されることも多いため、非常にタフな研究分野であるといえます。そのため、院試勉強の機会にすべての分野を基礎から復習することが出来たのはとても有意義であったと思います。どんな研究分野であろうと基礎知識に基づいた根本原理の理解は絶対に欠いてはならないものであるので、これからも初心を忘れず精進していきたいと考えております。

最後になりましたが今回このような機会を与えてくださいました東北化学同窓会皆様に深く感謝を申し上げるとともに,益々のご発展をお祈りいたします。


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平間賞受賞記念寄稿


佐々木 聡


この度、平間賞という大変名誉ある賞をいただくことができ光栄に思います。受賞にあたり、日頃から熱心にご指導してくださっている豊田先生を始め学際基盤化学研究室の先生方、これまで私を支えてくれた家族や研究室の友人たちに深く感謝申し上げます。
 研究室に入って一番感じたことは環境の大切さです。私は人がどのような行動をするかは、その人自身の特質はもちろん所属する集団の性質に大きく影響されると考えています。助け合おうとする人が多い環境では人は本来の特質よりも協力的な振舞いをし、イライラした人が多い環境では本来の特質よりも攻撃的な振舞いをするようになります。そういった意味で、私は研究に熱心に取り組む仲間の多い環境に助けられて今回の受賞に至ったのだと思います。
 学部4年の卒業研究発表でこの賞を頂き、現在も当時と同じ学際基盤化学研究室の修士課程1年として在籍しています。学部3年の後期に配属になってからもう2年弱が経過しており、上級生として後輩に指導する機会が増えてきて責任を感じる反面、私が配属された時に修士1年だった先輩方のようになれているか焦りを感じています。研究室への在籍期間が長くなるほどに後輩が増え、そのつもりは無くとも環境に与える影響は自然と大きくなっていきますが、それに相応しい実力を身に着けるためにはただ漠然と日々を過ごすのではなく、上昇志向を持ち続けることが必要だと実感しています。環境からいい影響を受けて満足するのではなく、集団を構成するメンバーとしてより良い環境を作っていくような振舞いを意識していきたいと思います。

私は大きな賞を受賞したことが無く、今回が初めての経験でした。今は受賞した喜びもありますが、卒業研究発表の際に平間先生にいただいた質問に自分で納得のいく回答ができなかった悔しさがずっと心にあり、今はその気持ちを糧に日々の研究に取り組んでいます。
 東北大学理学部化学科を卒業したこと、平間賞を頂いたことを誇りに思っています。未熟な点もたくさんありますが、化学科の先輩方のような優秀な化学者に成長できるよう日々勉強していきたいと思います。
 最後になりましたが、このような機会を与えてくださった東北大学同窓会の皆様に感謝申し上げるとともに、益々のご発展とご多幸を祈念申し上げます。


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平間賞受賞を受けて


小野 拓実


 この度は平間賞をいただくことができ、大変光栄に存じます。研究室配属から指導いただいている木野康志准教授をはじめとする自分の研究活動を支えていただいた皆様に御礼申し上げたいと思います。
 平間賞は「優れた卒業研究を行った者」に贈られる賞ということで、自分が研究室に配属してから約1年半にかけて行ってきた研究が評価されたことを大変うれしく思います。わたしは福島第一原発事故の影響を調査することを大きな目的とし、その中で放射性物質の分析や被ばく線量の推定を行ってきました。実際に福島で採取してきた膨大な試料の分析や、その測定結果から新しいことを発見するということはとても難しいことであると感じましたが、これらを経験することで研究活動の進め方というものを段々と理解していったように思います。また、わたしは学部に在籍している間に2回ほど学会で発表させていく機会がありましたが、自分の研究成果の良いところをまとめてわかりやすく発表するという経験が、自分の研究の課題を見つめ直し研究の質を高める良い機会になったのだと思います。今後も、平間賞をいただいたことを励みとして研究活動を続けていき、なにか面白い発見をしていきたいと思っています。
 自分の研究テーマである「福島第一原発事故の影響調査」は学術的な面白さを持っているだけではなく、社会に与える影響が大きいという点でも重要で責任がある研究であると考えています。事故から8年以上経過した今でも福島原発周辺の地域はいまだに汚染されており、いまだに健康への影響を懸念している人も多いのが現状です。大学院に進学した現在でも同じテーマで引き続き研究を進めており、さまざまな放射性物質の分析や、より精密な被ばく線量の推定を行っています。このような自分の研究活動が出身地である福島の復興に役立てられればいいなと思っています。
 最後になりましたが、このような機会を与えていただいた東北大学同窓会の方々に感謝申し上げますとともに、皆様の益々のご発展をお祈り申し上げます。


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平間賞受賞を受けて


服部 圭吾


 この度は平間賞を賜りまして、大変光栄に思っております。この場を借りまして指導教員の藤井朱鳥教授、量子化学研究室のスタッフ、学生の皆さんに心より御礼申し上げます。

 私は配属する研究室を選ぶ際、事前の研究室見学で研究室の居心地が一番良さそうだったという曖昧な理由で量子化学研究室を選びました。実際に、先輩方も優しく、先生も親身になってご教授くださったので大変過ごしやすい環境でした。研究室での生活は常に全力で研究をするのではなく息抜きもある、メリハリのある研究生活を過ごせました。普段ディスカッションやセミナーを行っている机で飲み会をやったり、平日昼間から芋煮をやるために川辺へ行きお酒を飲んだりと楽しく過ごすことができました。

 私のテーマは、硫黄の半結合と呼ばれる特異な共有結合についての研究でした。今まで大学で受けてきた講義で半結合という結合は聞いたことがなく、テーマをいただいた時に初めて知りました。また、チャンバーを使って真空を作り出し、その中で微小粒子(分子クラスター)の観測実験をしているため、外からでは全く何が起きているのか見えません。実験装置は多くのパラメーターを操作し制御しています。このような複雑な装置や原理もまったく勉強したことがなかったため配属された当時は不安でいっぱいでした。
藤井先生は原理を解説しながら付きっ切りで装置の使い方を教えてくださいましたが、実験を始めた当初はあまり理解ができないまま、装置のパラメーターをわけもわからず変更し、ただスイッチを押すだけの人になっていました。しかし、同じことを繰り返し聞いていたにも関わらず、藤井先生は私のことを見捨てず、懇切丁寧に指導してくださったので、私は次第に理解できるようになり、一人で実験を行うことができるようになりました。このような経験を通して研究を続け、今まで明らかにされていなかった知見を得られ、研究の楽しさを実感することができました。
最終的に平間賞という名誉ある賞を頂くことができ、充実した学部生時代を過ごすことができたと思います。 今後も量子化学研究室で得た経験を生かして研究を続けていきたいと思います。

 最後となりましたが、このような機会を与えていただいた東北大学同窓会の方々に感謝を申し上げるとともに、皆様の益々のご発展とご多幸をお祈り申し上げます。


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青葉理学振興会奨励賞受賞を受けて


金澤 輝石


この度は平間賞をいただくことができ、大変光栄に存じます。研究室配属から指導いただいている木野康志准教授をはじめとする自分の研究活動を支えていただいた皆様に御礼申し上げたいと思います。
 平間賞は「優れた卒業研究を行った者」に贈られる賞ということで、自分が研究室に配属してから約1年半にかけて行ってきた研究が評価されたことを大変うれしく思います。わたしは福島第一原発事故の影響を調査することを大きな目的とし、その中で放射性物質の分析や被ばく線量の推定を行ってきました。実際に福島で採取してきた膨大な試料の分析や、その測定結果から新しいことを発見するということはとても難しいことであると感じましたが、これらを経験することで研究活動の進め方というものを段々と理解していったように思います。また、わたしは学部に在籍している間に2回ほど学会で発表させていく機会がありましたが、自分の研究成果の良いところをまとめてわかりやすく発表するという経験が、自分の研究の課題を見つめ直し研究の質を高める良い機会になったのだと思います。今後も、平間賞をいただいたことを励みとして研究活動を続けていき、なにか面白い発見をしていきたいと思っています。
 自分の研究テーマである「福島第一原発事故の影響調査」は学術的な面白さを持っているだけではなく、社会に与える影響が大きいという点でも重要で責任がある研究であると考えています。事故から8年以上経過した今でも福島原発周辺の地域はいまだに汚染されており、いまだに健康への影響を懸念している人も多いのが現状です。大学院に進学した現在でも同じテーマで引き続き研究を進めており、さまざまな放射性物質の分析や、より精密な被ばく線量の推定を行っています。このような自分の研究活動が出身地である福島の復興に役立てられればいいなと思っています。
 最後になりましたが、このような機会を与えていただいた東北大学同窓会の方々に感謝申し上げますとともに、皆様の益々のご発展をお祈り申し上げます。


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荻野博・和子奨学賞受賞を受けて


伊藤 亮佑


この度は荻野博・和子奨学賞をいただきまして誠に光栄に存じます。この場を借りまして、これまでご指導いただいた先生方をはじめ、大学生活を支えてくれた家族や友人、先輩方に感謝申し上げます。
 学部3年次までの学業成績を評価していただき、これまでの学習の姿勢が認められたようで安堵しています。受賞までの3年間では、化学のみならず、教養科目にも意欲的に取り組んできたように思います。さらに、大学での勉学に限らず、(半分ほどは本棚の肥やしとなっていますが)本を読んだり、ボランティア活動をしたり、日本全国に旅行をしたりと、知的好奇心の赴くままに大学生活を過ごしてきました。3年次の秋に理論化学研究室に配属され、半年あまりが経過した現在は、「金属クラスターイオンの気体分子吸着反応性」を研究しています。研究に関してはまだまだ未熟で、学ぶべきことが多くあります。初めての経験の連続で、新鮮な気持ちで毎日を過ごしています。この歳になっても、初めての経験や発見はいくらでもあって、そのたびに「知る喜び」を感じます。この「知る喜び」こそが私の勉学、研究の原動力であるように思います。
 「発見」といえば、受賞から1か月ほど経った4月のある日、大学に向かうため青葉山キャンパスに続く階段を上っていたところ、道の脇にタンポポの花が咲いているのを見つけました。そこで、ふと花の裏をのぞいてみたのです。タンポポの花の付け根には総苞片と呼ばれる部分があります。そのタンポポは、総苞片の外側、総苞外片が上を向いていて、内片に密着していました。これは在来のタンポポの特徴です。はっきりと在来種であるといえるタンポポを見たのはそれが初めてでした。幼い頃に図鑑で見た知識と実際の経験が結びついた瞬間でした。
 大学生活の中で、情報の海を漂うようにして、あらゆる機会にあらゆる場で学んできました。多くの分野に手を出しすぎて、結局のところすべてが中途半端になっている気もしますが、学習した事柄に思いがけないところでつながりが見いだされるとき、寄り道の多い学びも良いものだと思うのです。化学を軸として追究しながらも、気長に、広く勉学や研究に励みたいと思います。
結びにかえて、寄稿の機会を与えてくださいました東北化学同窓会の皆様に厚く御礼申し上げるとともに、同会の益々の御発展をお祈り申し上げます。

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