会員、教員受賞記念寄稿





日本化学会進歩賞を受賞して


近藤梓
反応有機化学研究室で助教をしております近藤梓と申します。
この度、日本化学会第68回進歩賞を『有機超強塩基によるアニオンの触媒的発生を鍵とする分子変換反応』という題目で頂くことができました。このような歴史と名誉ある賞を頂き、大変光栄に思います。それと同時にこの賞は若手研究者を叱咤激励する賞であると認識しており、身の引き締まる思いがしております。
私は2012年4月に反応有機化学研究室の助教に着任し、研究室を主宰されております寺田眞浩教授のご指導のもと、「有機合成の新たな方法論の開拓」を目指し研究に取り組んでおります。新たな医薬品や機能性有機材料の開発のためにはその元となる“欲しい化合物”を入手が容易な出発物質から‟効率よく選択的に”合成する新たな有機合成技術の開発が必要不可欠です。私たちのグループではその実現のためのツールとして今回の研究題目にもあります「有機超強塩基」と呼ばれる高い塩基性をもつ有機分子に着目しました。そしてそれらの有機分子を触媒として用いた「新たな分子変換手法の開発」と「高い性能を持った新たな有機触媒分子の創生」を両輪として研究を進めております。これまでの一連の研究によって、有機超強塩基の高い塩基性を適切に活用することで、これまで実現が困難であった分子変換や合成が困難であった化合物の合成が可能になることが明らかとなってきました。非常に基礎的な研究ですが、その成果を高く評価して頂けたことを大変嬉しく思っております。今後これまで進めてきた研究を更に発展・深化させるとともに、「新たな有機合成化学の開拓」を目指し、より一層研究に邁進していく所存です。
今回受賞対象となった成果は、寺田研究室で日々一緒に研究に取り組んでくれた学生・ポスドクの皆さんの熱意と頑張りにより得られたものです。ご指導を頂いた寺田先生、多くのご助言とサポートを頂いた反応有機化学研究室の先生方と秘書様、学生・ポスドクの皆さんに厚く御礼申し上げます。
末筆ではございますが、このような寄稿の機会を与えた下さった東北化学同窓会幹事の皆様に感謝申し上げます。東北化学同窓会の皆様のご健勝と同窓会の益々のご発展をお祈りするとともに、今後ともご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。


                     


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