新任教授寄稿


東北化学同窓会会員の皆様へ


多元物質科学研究所 生体機能化学講座 細胞機能分子化学研究室 水上 進


平成28年4月より、阪大院工学研究科から生体機能化学講座・細胞機能分子化学研究室(多元研,旧・タンパク機能解析研究室)に着任しました水上進と申します。

私はもともと東大薬学部の出身で、同大学院薬学系研究科で学位を取得しました。私が所属していた薬学部は有機系が1/3、残りの約2/3が生物系という割合で研究室がありました。 私は当時勢いのあった分子生物学分野の研究者になりたいと思っていましたが、せっかく有機化学を学べる薬学部にいるのだから、化学も一通り学んでおきたいという少し欲張りな動機で、 有機化学の中でもできるだけ生物学に近い生物有機化学の長野哲雄先生の研究室を卒業研究先に選択しました。 修士課程から分野を変えようと思っており、実際に大学4年生の卒業研究の終盤に、研究室を移るために色々な研究室を訪問して先生方の話を聞いていたところ、 所属研究室の先生方から「化学をしっかり学ぶには修士までここにいて、それから研究分野を変えれば良い」と言われ、 そんなものかと思い、そのまま修士課程に進学しました。今から考えると先生方にも様々な思惑があったとは思いますが、そのときが私の研究者としての方向性を決定づけた瞬間になりました。 その後、バイオイメージングプローブ開発という興味深い研究テーマに出会い、そのまま博士課程に進学し、 武者修行に出た博士研究員の数年間を除くと20年近く一貫してこの領域で機能性分子開発の研究を続けることになりました。

私は一時独法研に在籍していたこともあり、そのときから若い学生がいる環境で研究・教育の双方に関わり続けたいという気持ちを強く持っています。 縁あって東北大に来ることになり、さらに平成29年度から化学科の英語コースである国際学士(AMC)コースの代表という重責を担わせていただいております。 日本人の若年人口の減少などもあり、大学も国際化の波に晒されていますが、教育の国際化は生易しい問題ではなく、英語コースの教育現場でも様々な意見が出ています。 現在は大きな変化の前の過渡期といったところでしょうが、東北大がどのような方向で国際化を推進するにせよ大学教員も大きな環境変化に適応していく必要が出てきていると思います。 こうした試練ともチャンスともいえる環境に感謝しつつ、東北大が掲げる「研究第一」と自らの信念である「教育第一」の両立を目指して、 世の中の役に立つ「分子」と「人」を生み出していきたいと思っています。化学教室の皆様や同窓会の諸先輩方におかれましては、今後ともご指導ご鞭撻のほど宜しくお願い申し上げます。



多元研でナノ・マイクロ計測化学を進めます


多元物質科学研究所 ナノ・マイクロ計測科学研究分野 火原 彰秀


平成28年5月より、多元物質科学研究所計測研究部門のナノ・マイクロ計測化学研究分野教授に着任いたしました。 主に、ナノ・マイクロ加工に基づく分析手法の研究、ナノ・マイクロサイズの液相およびその界面の化学に基づく計測科学研究を進めています。 当分野は化学専攻の協力講座となります。よろしくお願い申し上げます。

島根県松江市の高校を卒業し、東京大学、東京工業大学を経て、東北大学にやってきました。平成13年に、科学計測研・反応化学研・素材工学研が統合し、 多元研が誕生してから15年ほどが経過したところに着任しました。 かつて在籍した研究所でよくささやかれてた「研究所は自律・分散・協調(あるいは協創)」が、うまく調和している大変魅力的な研究所に来たと感じています。 特に、新学問分野・融合学問分野への挑戦、社会への成果還元などの点が活発で、毎日を楽しく過ごしています。 このような雰囲気に化学専攻の大学院生を迎えることになりますが、これまでの工学系・理学系での大学院生指導の経験を活かし、基礎化学を大事にした指導を続けていきたいと考えています。 化学教室としては少し新しい分野になりますが、これから育っていく大学院生ともども、同窓会の皆様のあたたかいご支援をお願い申し上げます。

教育面で最近よく考える点に、平成23年に設置された国際学士コース(先端物質科学コース)があります。毎年10名以内ではありますが、 外国人の学部生が、化学科と同等の内容を、英語により受講することができるコースです。設置から6年が過ぎ、優秀な学部卒業生が輩出され始め、その一部は 化学専攻に大学院生として進学しています。私もこの講義・運営を担当することになりました。英語講義の難しさ、国際学士コースの特殊性など感じつつも、 教育面で先進的な取組を続ける化学教室の名誉・名声を、より高められるよう努力したいと考えております。 世界各地から仙台の地に集まってくる学生が、気持ちよく勉学を進め、日本社会に役立ち、日本や彼らの母国を含む世界へと羽ばたいていけるよう、同窓会の皆様にもご助言・ご支援をお願い申し上げます。

ナノ・マイクロ化学、計測化学、分析化学の分野で先進的な研究を進めていきます。今後ともご指導・ご鞭撻賜りますようお願い申し上げます。

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