研究所便り



                      

片平キャンパスの多元研(8+2研究室)と金研(2研究室)で今年度も活発に研究・教育が行なわれてきたことは、関連学会や協会をはじめ、テレビ・新聞などの報道によってご存知の方も多いと思います。この間、主な人事異動としては、伊藤研の小野寺信治 助教授が平成17年3月をもって定年を迎え、現在、東北福祉大学の特任教授として活躍中です。一方、中西研の及川助教授が教授に昇任されました。また、斎藤研(生命研究科)の松井敏高助手が講師に昇進されました。これら以外に、助手や博士研究員(COEフェローなど)にも現在の人事の流動化を反映していくつかの移動があったようですが、筆者には正確に把握しきれていない部分もありますので、各研究室のホームページなどを訪ねてください。

多元研では原田宣之 教授と中西八郎 教授が平成18年3月をもって定年を迎えます。長い間、研究・教育さらには管理運営に多大な貢献をなさいましたことは会報で特集されると思いますが、簡単に紹介します。

原田教授は中西香爾先生の研究室を修了後、非水研に移り、反応研、多元研と一貫して片平キャンパスで、有機化学とくにキラリテイおよび分子モーターで世界をリードしてきました。この間、化学専攻の修士・博士課程の修了者を多数輩出し、皆さんそれぞれの分野で活躍しております。

中西八郎 教授は村上先生の定年後に反応研に着任され、非線形材料やハイブリッド微結晶の研究のプロジェクトリーダーとして大きなグループを率いて成果をあげられました。またこれら研究・教育を活発に行うとともに、反応研および多元研の研究所長として研究所の発展ばかりでなく大学や学外審議会などの要職も勤め、多大の貢献をなさいました。

  さて、片平キャンパスを訪れる同窓生から、旧化学教室のガラスのひび割れや窓から垣間見える埃だらけの乱雑な内部を嘆き悲しむ声が 長い間 多々寄せられていて、片平キャンパスに勤務している一人として肩身の狭い思いをしていましたが、昨年の会報で報告されたように、大学本部および法科大学院としてリニューアルされました。玄関脇には、旧化学教室であったことの標識も立てられています。平日ならば入り口の守衛さんへ声をかけていただければ、内部の一部を垣間見ることが可能なようです。ただし、一部大学の中枢部には立ち入ることができないようです。また、裏側の木造階段教室も未だ健在で、魯迅が学んだ由縁で、江沢民前中国国家主席が訪ねた際に、周辺を含めて整備されました。 ここにも化学教室として使われた標識が立っています。見学にはやはり正面玄関で相談してみてください。

片平の旧化学教室に昭和30年代に建て増しされた「化学第二学科(「コ」の字形の下の部分)」は長い間 非水研(反応研、現多元研)の5研究室が使用していましたが(正確には一時金研も使用)、新館(写真参照;正式名称は東北大学 材料・物性総合研究棟 I,II で、大学共用施設となっておりますが、主に多元研が使用するようです)が片平グランド跡に完成しましたので、清水研(生命研究科)と斎藤研は新館へ移転します。 山内研は科研棟へ移転します。訪問される際は確認してください。新らしい研究室に移転して新鮮な気持ちで研究・教育に活躍されるように期待しているところです。 残された一研究室は伊藤(攻)研で、今までのまま旧化学第二学科棟3階の小泉研と学生実験室の後を使用しながら、来年筆者の定年を迎えることになっています。 学生時代と同じ部屋(トイレも同じ)で定年を迎えることができることを無上の幸せとして、新棟に移れなかった不運を慰めているところです。



写真説明:東北大学(片平)材料・物性総合研究棟 I,II

多元物質科学研究所   伊藤 攻 (昭和41年卒業) 記




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